サステナブルなおもちゃは子供の成長にも好影響?専門家が教えるおもちゃ選びのコツ
2023/03/18
世界中の多種多様なおもちゃがすぐに手に入る現代。自分の子供にいざおもちゃを与える時、どのように選べばよいのだろうか。おもちゃ選びと遊び方のコツについて、紹介していこう。
おもちゃは
「長く遊べるものを選ぶのが一番」
昔ながらのおもちゃや知育玩具、人気のキャラクターものや最先端テクノロジーを搭載したものなど、魅力的な商品が溢れるおもちゃの世界。国内だけでも、年間1万もの商品が新しく発売されるという。しかし、サステナブルという観点だけでなく、子供の発達や成長への影響を考えても「長く遊べるものを選ぶのが一番」と、しみずさんは語る。「そのために重要なのは“シンプル”なことです。“多機能”をアピールする商品は一見魅力的ですが、実は遊び方が限定される分、早く飽きてしまうことも多い。積み木やブロックなどの、よりシンプルなおもちゃの方が、遊ぶ側が自ら主体的に遊びを作り出し広げていく楽しさと可能性があります」。
また、玩具業界では、長らく『男児玩具』『女児玩具』としてきたジャンル分けが近年撤廃されたという。それを受け、どちらかの性別に偏らない作りやデザインのおもちゃも各メーカーから次々と発売され始めている。男の子には乗り物やロボット、女の子にはままごとやお人形、のような一昔前までの固定概念に捉われず、子供自身の好みや得意に合わせたおもちゃ選びも意識したい。
そして、何を選ぶか以上にどう遊ぶかが重要だと、しみずさんは指摘する。「特に子供が小さいうちは五感を使って遊ぶ機会を多く持ってみてください。触ったり、匂いを感じたり、五感を使うほど受ける刺激が増え、得られる情報の解像度が格段に高くなります。また、例えば積み木でおうちを作ろうとしたら空間認識力や数の概念を意識せずに活用し、作ったおうちでごっこ遊びが始まれば情緒やコミュニケーション、言葉のやりとりが発生します。つまり、五感を使ってのびのび遊ぶことこそ、子供の『認知能力』『非認知能力』の両方を自然と伸ばすものなのです」。
親としては、少しヒントやアイディアを与えたり、一緒に試行錯誤したり、前向きな言葉がけをしてあげたり、子供の遊びを発展させるサポート的な関わり方を心がけるとよいとのことだ。
しかし「一番大切なのは親もめいっぱい楽しむこと」だそう。「おもちゃを選ぶ時は大人自身がこれでいろいろ試してみたいとワクワクするようなものを手に取ればいいし、一緒に遊ぶ時は親が夢中になって遊べば子供もその世界に没入でき、遊びが発展しやすくなります」。もしママかパパどちらかが、子供と一緒に遊びに没頭するのが苦手という場合はもう1人が橋渡し役になってあげるとよい、とのこと。「無理に遊びに参加させようとしたり置いてけぼりにしたりするのではなく、子供の興味や状況、成長などを親の視点でパートナーに伝えてあげてみてください」。こうすることで、親子関係だけでなく、夫婦の関係性を良好に保つことにも繋がるはずだ。
おもちゃの選び方・遊び方のコツ
1 おもちゃはシンプルなものを選ぶ
まずは、積み木やブロックなど昔からあるシンプルな王道のおもちゃを揃えたい。子供の成長に合わせ、ピースが小さくて数が多いものを選ぶと作れるものの幅が広がる。
2 五感を使って遊ぶ
特に小さいうちは、視覚と聴覚しか使わないテレビゲームよりもリアルな物やおもちゃで遊ぶ機会を多く持とう。遊びながら様々なことを学べ、発想力や想像力を育む助けとなる。
3 親自身がめいっぱい楽しむ
おもちゃ選びも他の遊びも、親が楽しむことが一番。知育や正しい遊び方など難しいことは忘れて、一緒に遊びに夢中になることが子供の心・体・頭に最もよい影響をもたらすはず。
しみずさんおすすめ
サステナブルなおもちゃ
こどもの育ちとあそびの専門家・しみずさんが注目しているおもちゃを「サステナブル」という観点でご紹介。おもちゃ選びの参考にしてみては。
積木遊びの可能性は無限!
パパも夢中になること間違いなし
童具館
積木のいろは45
良質な木材でつくられた童具館の積木『WAKU BLOCK』シリーズは50年の歴史があり、親から子へと手渡す家庭も多いという。積木を積み上げる1歳児の遊びから、街づくり、城づくりなど大人まで楽しめる。「パパに圧倒的におすすめです」。
HP:dougukan.com/allproducts/block_product/iroha.htm
優しい木の手触りとリアルなギミックが楽しい
ウッディプッディ
はじめてのおままごと 特上おすしセット
無垢の木と磁石にこだわったおままごとセットが豊富なウッディプッディ。中でも特に「おすしセットは女の子も男の子も楽しいデザインと設計です」。ネタとシャリが磁石でくっつく仕掛け、湯飲みやお品書きなどの小物も本格的。
HP:www.woodypuddy.com/c/85887/44315/g05-1218
五感に心地よく、子供の発想力を育てる
やまのくじら舎
ちびっこ大工道具セット
国産の間伐材などを活用し、木の香りと優しい手触りが感じられる。ブロックの穴に釘やネジを差し込んで様々な形を作ることができ、自分で作る楽しさと豊かな発想力を育む。「環境に優しく、性的な偏りもない商品です」。
HP:yamanokujira.jp/fs/yamanokujira/sekku/t002
お米で作ったブロックは優しい色と手触りが特徴
カワダ ダイヤブロック
OKOMEIRO(オコメイロ)
食用に適さないお米を原料とする国産バイオマスプラスチック「ライスレジン®」を使用した環境に優しいブロック。「サステナブルなおもちゃは高価なものや生産数が少ないものも多いなか、手に取りやすいのも魅力です」。
HP:www.kawada-toys.com/brand/diablock/
お世話遊びの世界にも男の子のお人形が登場
パイロットコーポレーション
メルちゃん あっちゃん
お世話遊びが楽しめる『メルちゃん』シリーズでは男の子の赤ちゃんを新発売。ジェンダフリーの意図はなかったそうだが、男児の購入数も伸びているという。「お人形のお世話をする遊びは他者を思いやる気持ちも育みます」。
HP:www.mellchan.com/product/doll/aokun.php
教えてくれた人
しみずみえさん
こどもの育ちとあそびの専門家。玩具メーカーでの商品企画開発、KCJ GROUP(株)でのキッザニア東京の創業に携わったのち独立。保育園の設立支援、水族館・科学館・室内遊び場などのプログラム開発やスタッフ研修、親子あそび教室の実施などを行う。著作に「あそびのじかん-こどもの世界が広がる遊びと大人の関わり方(英治出版)」
文:岡本いつか
FQ JAPAN VOL.65(2022-23年冬号)より転載