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実は心配な赤ちゃんの“生理的O脚”! ついにその原因が明かになった!

O脚気味に歩く赤ちゃんの姿を見たことがあるだろう。膝を開いてよちよち歩く姿は可愛らしいものだ。しかし赤ちゃんのO脚には栄養上の問題が潜んでいることが研究で明らかになった。わが子もそうだったら、早めに対策を取った方がいい。

血液検査から新事実が判明

これまで赤ちゃんのO脚傾向は「生理的O脚」と呼ばれ、多くは成長とともに自然に治るとされていた。しかし、順天堂大学医学部の研究チームは、そうした赤ちゃんたちにビタミンDの不足などがみられることを世界で初めて明らかにしたのだ。研究結果は科学雑誌Calcified Tissue International 2020年2月号に掲載された。

研究はO脚の赤ちゃんとそうでない赤ちゃんの骨に関する血液検査の結果を比較することで行われた。すると3つの有意な差を認めることができたのだ。

まず、ビタミンDの不足だ。ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける。この不足によって発症する疾病に「くる病」がある。

次に酵素の1種であるアルカリフォスファターゼが高値であることがわかった。くる病では相当に高値になるものだが、O脚の赤ちゃんでは基準値範囲内で高いものとなった。

3つめとして、副甲状腺ホルモンも高値だった。副甲状腺ホルモンは体にカルシウムが不足してくると放出される。ビタミンDが不足するとカルシウムの吸収が悪くなるため副甲状腺ホルモンが増加していることはまず考えられる。O脚の赤ちゃんではビタミンDが不足すればするほど副甲状腺ホルモンが増えていた。ところがO脚ではない赤ちゃんにそのような傾向は見られなかったのだ。このことは、O脚の赤ちゃんはビタミンDのみならずカルシウムも不足している可能性も示唆している。

対処として日光浴も有効

くる病では血液検査でもレントゲンでもはっきりと異常が認められる病気だ。一方赤ちゃんのO脚はレントゲンでも異常を見出すことができず、血液検査の結果も正常値の範囲内となる。とはいえ今回の研究で、O脚の赤ちゃんはくる病に近い状態にあることが明らかになったのだ。

O脚の赤ちゃんへの対処として有効なのはビタミンDを増やしてあげることだ。

食物から摂取する場合、サケ・サンマ・イワシ・シラスなどの魚を食べるとよい。また積極的に日光に当たることも有効だ。皮膚に大量に含まれている7-デヒドロコレステロールという有機化合物は、日光に含まれている紫外線を受けてビタミンDに変わるのだ(最近は紫外線を避けるため日本人はビタミンDが不足し、くる病が増えている)。なお、乳幼児へのビタミンDの大量投与は危険だとされているので、念のため。

順天堂大学チームは今後の研究の方向性も示している。どの時期のビタミンD不足がO脚に関係するのか(胎内なのか、生まれた後なのかなど)、栄養との関連、体質との関連などについて明らかにしていきたいとしている。

DATA

順天堂大学


Text:平井達也

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