他人の育休には賛成できるが、自分事になると一転。育休賛成ムードはどこへやら。
2020/01/30
あなたは男女平等についてどう考えているだろう。かつては同権異質論が主張され、最近では女性天皇の是非も論じられるなど難しいテーマであり続けてきた。家庭も含めて今の日本は男女平等だろうか。将来はどうだろうか。
73%が不平等を実感
家庭内でのパートナーとの関係や役割分担は最もプライベートな問題であり、国家や第3者の介入は最小限に留められるべきだ。ただし、日本国憲法は男女平等については明確に述べているので確認しておこう。
まず、法律上の平等について
第一四条【法の下の平等、貴族の禁止、栄典】
1 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
つぎに家庭生活について
第二四条【家族生活における個人の尊厳と両性の平等】
1 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
これらの条文については賛否や改正の議論があるとは聞かないので、規範としての社会的な合意が成立しているといってよいだろう。ただし規範に実態や実感が追い付いているかは別問題だ。
普段生活の中で、性差別を感じることがあるか意識調査したところ、23%が「よくある」、50%が「たまにある」と回答したのだ。
なお、「職場で男女が不平等だと感じること」を質問したところ、男性は「責任の重さ」、女性は「昇級や昇進のしやすさ」が最多回答となった。
男は仕事、のカラクリ
※BIGLOBEによる意識調査
家庭では家事育児が、量的にも責任面でも圧倒的に女性に負担が偏りがちだ。男性はその分、家計を支えるために働いてくるのだ、と反論する人もいるだろうか。
しかし男性だから担える仕事など現代にいくつあるだろう。むしろ日本の勤労システムが男性優位に設計されているにすぎない(先の、男性は「責任」に負担を感じ、女性は「昇給や昇進」に不平等を感じるという調査結果が証明している。そう、男性優位社会は男性自身にも負担なのだ)
実は男性の側も、もっと家事育児に参加することが正当だとわかってはいるのだ。例えば育休取得。調査では、男性が育休を取ることに男性回答者の85%が賛成だと答えている。
残念な本音も明らかに!
では自分の問題として考えたとき、あなたなら育休を取得できるだろうか。この意識調査では「自分が育児休暇を取得することに抵抗を感じるか」質問している。結果はこうだ。
過半数の男性が抵抗を感じると回答しているのだ。先ほどの質問項目に対する、圧倒的な育休取得賛成ムードはどこへ行ってしまったのだろう。とはいえ「一般論としては男性の育休取得に賛成だが、自分事となると、ためらわれる」これはかなりの男性の本音だろう。
男女差別の終焉は近いぞ!
それでも、一般論として男性の家事育児参加が良いことだと認識されるようになったことは希望だ。物事を一挙に変えることは難しいが、ささやかなことを少しずつ変えていくことでいつの間にか古い常識が覆ることはある。
ささやかなことは誰にでもできる。例えば、育休は取れなかったが定時上がりをすること、育休を取ろうとしている同僚を励ますこと。同僚や取引先の女性の仕事を正当に評価し、彼女の存在意義を周囲に認知させることにも意味がある。
考えてもみてほしい。男女差別などという不合理なものが、この先も長く続くわけがない。社会変化の加速度を考えれば、その終焉は予想より早いだろう。
だとすれば旧弊に安穏としているうちに取り残されるより、フロンティアの側に回る道を考える方がよっぽどイケている。
DATA
Text:平井達也