“おしごと”が子供の集中力を高める!? モンテッソーリで重視される「自己教育力」とは
2019/06/20
子供には「自己教育力」があると考えたマリア・モンテッソーリ。彼女が確立した「モンテッソーリ教育」は先進的で、数多くの有名人もこの教育を受けていた。「モンテッソーリ教育」独自の考え方や教育法などを解説する!
アイキャッチ画像:日本モンテッソーリ教育綜合研究所附属「子どもの家」の園内
モンテッソーリ教育の
基本とは?
「モンテッソーリ教育」はイタリアの女性医師のマリア・モンテッソーリが、1907年ローマの貧民街で「子どもの家」を開設したのが始まりだ。子供は自らを自分の力で育てていく「自己教育力」が備わっていると考えるのがこの教育の特徴。「自己教育力」によって、子供はそのとき自分に必要な課題に取り組むのだ。
モンテッソーリ教育ではそれを「おしごと」と言い、そのタイミングを「敏感期」と呼ぶ。そして敏感期に適したおしごとをみつけると「集中現象」が起こる。例えば子供はティッシュペーパーをぜんぶ引きだしてしまったり、何でも自分でやりたがったりするときがある。それは「自己教育力」の導きにより、なすべきトレーニングをしているのだ。子供はそれを満足いくまでやりとげると、次の課題に取り組む。
「自己教育力→敏感期→集中現象」のサイクルを発揮させるために、モンテッソーリの幼稚園や保育園には、さまざまなおしごとの教具がそろっている。そのため、子供は自由におしごとを選び、集中して取り組むことができるのだ。
モンテッソーリ教育は個別活動が中心で、異学年混在が基本だ。また、3〜6歳を対象とするモンテッソーリ教育の環境では、「日常生活の練習」が「運動の敏感期」に対応し、「感覚教育」が「感覚の敏感期」に、「言語教育」が「言語の敏感期」に、「算数教育」が「数の敏感期」に、「文化教育」が「文化の敏感期」に対応している。日常生活の練習から感覚教育へ進み、その後、言語、算数、文化の各分野へと進むのがおおまかな流れとなっている。
モンテッソーリ流の子育てのコツは大きく4つある。第1に「子供が出会ったものに自由にとりかかる」こと。第2に、「やり始めたことに続けて取り組む」こと。第3に、「そのことに全力を傾ける」こと。第4に、「『できた』という気持ちで自分からやめる」ことだ。
<モンテッソーリ教育のキーワード>
●子供には「自己教育力」が備わっている
●発達段階に応じた「敏感期」が表れる
●適当な活動に取り組むと「集中現象」が起こる
●異学年混在クラスで各自のペースで学ぶ
モンテッソーリ教育における子供の成長課程
幼児期(0~6歳)
五感を通した体験が大事。大人が邪魔したり、急かしたり、放っておいたりすると不安定な状態の子供になってしまう。
児童期(6~12歳)
お友達との関わりから学ぶ機会が増え、道徳心やモラルといったものが芽生えてくる。
思春期(12~18歳)
幼児期に次いで、身体と心に大きな変化が起こる時期。お友達との人間関係がさらに大きな意味をもつようになる。
青年期(18~24歳)
自分の好きな分野、得意な分野を把握し、それを活かして社会に貢献することができるようになる。
モンテッソーリ教育を経験した著名人
藤井聡太(プロ棋士)、バラク・オバマ(元アメリカ大統領)、ビル・クリントン(元アメリカ大統領)、ヒラリー・クリントン(政治家)、ウィリアム王子(イギリス王室)、ヘンリー王子(イギリス王室)、ピーター・ドラッカー(経済学者)、ビル・ゲイツ(マイクロソフト創業者)、ラリー・ペイジ(グーグル創業者)、セルゲイ・ブリン(グーグル創業者)、ジェフ・ベゾス(Amazon 創業者)など