子供に対して厳しすぎてウンザリ! 全国のパパが知っておくべき妻の不満とは?
2019/02/23
パパは自分の課題解決を
子供に押し付け過ぎ!?
編集部:なるほど。だけど、よかれと思っての過干渉って親子だと多いですよね。ついきつく当たっちゃうのも、わかる気がします。
熊野氏:うん、この時、パパのなかでは何が起きているかというと「父親としてもどかしい、このままだと大会に出られないんじゃないかと気がかりだ」とかっていう心配を抱えている。これは「パパの課題」です。で、この課題を子供に押しつけて、解決を図らせようとしている。つまり、子供が必死に練習することで、自分の課題を解決してもらおうということですね。
でも、ここでも「課題の分離」を意識して、この心配を自分で調整してみる。例えば「心配し過ぎるのはやめよう。子供は後で悔しい思いをするかもしれないけれど、この失敗を通して『やっぱり練習は大事だ』と気付き、成長のチャンスになるかもしれない」とかね。
編集部:各々の課題に踏み込まず、自分の課題は自己解決するということですね。ママはママで、夫に対するイライラを「パパも私と考え方は違っていても、わが子のことを思っているんだな」という風に消化するとか。それにしても親子って、関係性が近い分、「課題の分離」が難しそうですね。
熊野氏:欧米では幼い子供でも、一人の個人として尊重して育てるといった考え方が根付いている。でも日本、韓国、中国といった東アジアは親の力が強いからね。だから、「課題の分離」ができてない親が多いんです。私たちは文化的に、ややそうなりがちな傾向があるということを理解して、子供と自分の課題を分離するとか、子供を操作しようとしないとか、意識しておくことが大事ですよね。
編集部:実際に子育ての問題で相談に来るかたで、「課題の分離」ができていないケースってありますか?
熊野氏:多いですよ。「そのモヤモヤは、あなたが課題の分離ができていないからだよ」って説明しても「でも、だって、親だから!」と、かたくなに「課題の分離」を拒む親御さんもいますしね。
もしかしたらそういう人は、自分も親に同じことをされてきたのかもしれない。本人も盲目的に親の意見に従って、運よく今までうまくやってこられた。これが成功体験となって、自分の子供にも過剰に干渉してしまうわけです。
でも、そんなことをやってたら自立した人間って育たないよね。目上の人の意見に従うだけの、主体性のない大人になってしまう。ほとんどの親は、そんな子供を育てようなんて決して思わないはずなのにね。
○自分の考え方、悩み、心配事を、相手に押し付けて、解決を図ろうとしない(=課題の分離)。
○夫婦間はもちろん、親子でも、相手の考え方を尊重する。
プロフィール
熊野英一(くまの・えいいち)
アドラー心理学にもとづく「親と上司の勇気づけ」のプロフェッショナル。株式会社子育て支援代表取締役。1972年、フランス パリ生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。メルセデス・ベンツ日本にて人事部門に勤務後、米国Indiana University Kelley School of Businessに留学し、MBA取得。製薬大手企業イーライ・リリー米国本社及び日本法人を経て、保育サービスの株式会社コティに統括部長として入社。約60の保育施設立ち上げ・運営、ベビーシッター事業に従事する。2007年、株式会社子育て支援を創業。日本アドラー心理学会正会員。著書多数。最新刊は『アドラー式働き方改革 仕事も家庭も充実させたいパパのための本』(小学館)