時事・コラム

虐待や差別は、”他人事”ではない……命を預かる「親の使命」

子供は生きていくうえで必要な“衣食住”において、親に絶対的に依存している。そういう意味では、社会的弱者とも捉えられる子供に対し、どう接するのが親のあるべき姿か? 精神科医の香山先生に話を聞いた。

あなたに生産性はありますか?
そういう視点で見られている

国会議員による“LGBTには生産性がない”という主張が物議を醸しましたが、これは、LGBTの当事者だけでなく、父親や育児ファミリーにも大いに関係のある問題だと思います。

まず何より、生産性と公的支援の必要性が関連して語られた、という点に注目すべきです。父親や育児ファミリーも、一時的ではありますが、LGBTと同じ社会的弱者です。社会的弱者に対する視点は、どうあるべきなのでしょうか?



そもそもLGBTは社会的マイノリティであり、様々な面での支援を必要としています。父親や育児ファミリーには、出産一時金や産休・育休といった制度が用意されています。同じようにLGBTにも、不利益を減らすための公的支援が必要であるのは明白です。もちろん財源には限りがありますから、支援するにも順位付けが必要ですし、支援規模に多寡があるのは理解できます。

ただ、その判断基準として”国への貢献”が用いられていることに違和感を覚えます。当該議員は明言こそしていませんが、生産性という言葉の裏には、少子化問題への貢献、つまり日本経済、ひいては日本という国家への貢献が求められていることが透けて見えます。国に貢献しない人には価値がないのでしょうか? たとえば、障がい者や老人で生産性が低く、将来にわたって生産性が高まる見込みがない場合、彼らには支援する価値がないのでしょうか?

現在は価値観が多様化していますから、お互いをパートナーとして認めて暮らしを共にしていても結婚しない、という人達がいます。結婚しても子供を作らない選択をする人もいます。確かに子育ては人生において貴重な経験の1つになり得ますが、それは幾つもある幸せな夫婦関係の1つの形でしかありません。

私たちが生きる資本主義社会において、生産性の多寡が価値を決める面があることは否定できません。けれども、公的支援の必要性と生産性とは、切り離して考えるべきです。父親・子育てファミリーの皆さんも、国の法律を作り、予算を決めている国会議員から、そういう視点から見られているのだと認識すべきなのです。

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