自分でも気がついていない!?子供の深層心理を理解する3つの対話スキル
2018/09/09
子供の心に潜るための
テクニック
レベル1 傾聴力を高める
「傾聴」は、本来はカウンセリング技法の1つ。相手の気持ちに寄り添って、注意深く共感的に「聴く」こと。臨床心理学ではアクティブ・リスニング(積極的傾聴)ともいう。
相手の話へ批判や助言を一切せず、相手が話すことすべてを受容して、しっかり耳を傾けて真意を引き出し理解すること。多くの親は、聴くのではなく自分の考えを吹き込もうとする。これは押し付け。まずは最後まで黙って子供の話を聴き通すこと。
レベル2 質問力を磨く
対話に必要な問いかけ(ドライビング・クエスチョン)により、子供が自身の心を継続的に見つめる作業を促進する。「AとBのどっちが好き?」という問いは、YES/NOで即答できるので深く潜るには×。
「美味しいものを食べている時の幸福感とは?」は、深い次元への理解につながる。容易には答えを見出せない問いこそ、自主的で能動的な取り組みを促すのだ。それが国際社会に横たわる諸課題に関する問題発見能力にもつながる。
レベル3 仮説質問で問いかける
言語能力が未熟な子供に対して最も有効な質問法だが、親の実力も問われる。質問とはそもそも仮説の検証。子供の様子や目線、言動、表情から、水面下に眠る深い部分を親が予想し、仮説を立て、それが合っているかどうかを確かめる。
たとえば「3年生になってからあまり宿題したがらないけど、クラス替えがあったから、心を許せる友だちがまだ見つからないのかな?」「最近一番好きなのは◯◯だよね。でも、◯◯は嫌いだよね?」など。自身の子供時代の経験なども振り返りながら質問してみよう。もしも正解なら、「パパは自分のことをよくわかってくれている!」と相互理解が深まる。ただ、とんちんかんなら逆効果となる危険性も。子供の心を探るレーダーを磨く努力を怠ってはいけない。
PROFILE
探究学舎代表
宝槻泰伸さん
高校退学~大検取得~京都大学という特異な経歴を持つ。大学卒業後すぐに起業。これまで高等学校、大学、教育委員会、職業訓練校、民間企業など、様々な場所で講師として活躍。現在は、探究学習を柱とした学習塾「探究学舎」の代表を務める。今年2月に新著『探究学舎のスゴイ授業:子どもの好奇心が止まらない! 能力よりも興味を育てる探究メソッドのすべて 元素編』が発売された。現在5児の父。
HP:探究学舎
Photo >> NAOAKI WATANABE
Text >> MIKAKO WAKIYA
FQ JAPAN VOL.47より転載