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子育て環境「都内で働きながら移住」というライフシフトのメリットとは

会社も働く土地も変えないまま、三島に移住。夫婦揃って毎日新幹線通勤という暮らしの変化に、「デメリットはひとつもない」と話す理由とは? 働き方改革を支援する株式会社ワーク・ライフバランスでコンサルタントを務める松久さんに聞いた。

子育て環境を求めて。
三島に暮らし、都内で働く

新幹線での時間を松久さんは勉強を、奥さんは読書や考えごとをして過ごす。三島駅に降りると自然と父、母スイッチに切り替わる。

そもそもは保育園問題だった。現在2歳になる娘の妊娠がわかったとき、都内に住んでいた松久さん。待機児童になるのは目に見えていた。引っ越すことを考え始めるも、決め手となる転居地が見つからないまま娘が誕生。松久さんはかねてから計画していたとおり7ヶ月間の育児休暇を取得し、奥さんの実家である静岡県三島で2ヶ月ほどを過ごした。

「三島で過ごしながらも、東京近郊の引っ越し先を探していました。でも三島の環境がとても良くて、ふとここに住んで東京に通えばいいのではと思ったんです。そうしたら妻も同じことを考えていて」。

自然が多く、保育園の敷地が広い。また市が子育て支援に力を入れているのも魅力だった。街や人の雰囲気、公共の制度ともに「子供が歓迎されている」と感じたという。今住んでいる家は、すぐ近くに蛍が飛ぶ川が流れているというから、その自然の豊かさは東京とは比較にならない。

「職場復帰後、私も妻もマイルドになったと言われることが増えました。たぶん三島の穏やかな空気の中で暮らしているからでしょうね」。

都会との空気の違いは、今も毎日駅に降り立つ度に感じている。もちろん通勤に不安がなかったわけではない。でも新幹線を使えば、会社までドアツードアで1時間10分。東京郊外から在来線で通うのと同じくらいの、無理のない通勤時間を必ず座って過ごすことができる。通勤を始めてみたらその時間は、父でも夫でもない「自分だけの時間」として、有効に活用できているという。

大きなライフシフトができた
きっかけとは

ベビーカーは購入せず抱っこにこだわり、娘が歩くまでの期間を過ごした。夫婦ともに育
休をとり、一緒に子育てできたからこそ。

大きなライフシフトができた理由に、松久さんは育休をあげる。

「男性は一度働き始めると、自身のキャリアについて立ち止まって考える機会がほとんどありません。7ヶ月という育休期間があったから、キャリアを振り返り、将来について考える時間が取れました。引っ越しを考える余裕も、この時間があったからこそだと思います」。

最近では「持っている経験を地域のためにも生かせたら」と、市の男女共同参画プラン推進会議委員などにも参加。移住2年目にして、しっかり地域に溶け込んでいる。でも将来もここに住み続けるかというと、それはわからないのだとか。

「もし成長した娘が海外に行きたいと言ったら、家族みんなで行ってもいいですし」と。この身軽さも、ライフシフト実現の秘訣なのかもしれない。

「毎日3人で抱きしめ合おう」「興味を持っていることにとことん付き合おう」などが、松久家の子育て基本方針。

松久さんの「ライフシフト」ステップ

34歳:
妻の妊娠がわかるとともに保育園問題にぶつかる
保育園に入れそうな引っ越し先を探し始める

35歳:
娘の誕生、7ヶ月間の育休取得
育休期間を静岡県三島で過ごす
三島への移住を決意
職場復帰、新幹線通勤スタート

PROFILE

松久晃士さん

1981年、愛知県出身。働き方改革を支援する株式会社ワーク・ライフバランスにてコンサルタントを務める。2016年、静岡県三島市に移住。2歳の長女と、同じく都内に勤務する妻との3人家族。


Photo >> MIHO FUJIKI
Text >> MAKIKO FUKUDA

FQ JAPAN VOL.47より転載

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