注目キーワード

時事・コラム

子は育てるものか、育つものか?”「勝ち組」は情けない存在”の真意とは

子は育つものであって、育てるものではない。性格も能力も容姿も、一度生まれたものは基本的には変わらない。それをきちんと理解して子育てできている人はどれくらいいるのだろうか。『里山資本主義』の著者、藻谷浩介氏のコラム。今回は子どもの主体性を育む方法について。

人間も生物の一種
基本はDNAで決まっている

子は育つものであって、育てるものではない。子は親とは違うDNA配列を持つ独自の存在で、親の教育次第でいかようにでも変わる粘土細工ではない。

子育てとは、子が生まれたときからの性質や能力に沿って自ら開花していくのをサポートする作業であり、生まれつきのもの自体を変えようとすればかえって子の人生を台無しにしてしまう。

ということなのだが、まったく逆に考えている親も多いのではないだろうか。つまり、親がきちんと育てなければ子は育たない、親の教育次第で子供の未来はいかようにも変わる、良くない点は矯正しないと子の人生は台無しになってしまう、と。

そういう親は、子に手を出す前に、自分自身を変えてはいかがだろうか。実際には性格も能力も容姿も、一度生まれたものは変わらない。筆者も皆さんも、どんなに努力しても、大谷翔平にもならなければ村上春樹にもならない。自分を変えられないのに、どうして子を変えられようか。

子を変えられると思う親は、自分の今は自分の親のせい(あるいは親のおかげ)だと考えているのかもしれない。確かに育児放棄をされたのであれば、親の責任は大きい。

だが人並みに育児をしてくれたのであれば、その先は親のせいとはいえない。親にできることは、人並みに子に栄養を与え、安全を与え、医療を施し、遊びや学びの機会を与えること、つまり子が生まれつきのものに沿って自ら開花していくのをサポートすることだ。

しかしどれだけ支えても、子のDNAは微塵も変わらない。人としてやってはいけないことを教えるのは大事だが、やれないことをやらせようとしてもいずれ無理が来る。

あなたが今、何か素晴らしい能力を発揮できているのなら、それは生まれつきのものを素直に開花させることができたからで、親が偉いとすればそれを助けてくれたことだけである。

12

関連記事

育児アイテム名鑑

アクセスランキング

  1. 「自閉症は人格。治すものじゃない」映画のモデルとなった父子が今思う、社会の在り方...
  2. 日本人がセックスレスになりやすい理由は? 1年で約140回のギリシャ夫婦との違い...
  3. 旅ライターが選ぶ冬の子連れスポット6選!施設選びのポイントと注意点を紹介...
  4. 男だって泣きたい…離婚後に待ち受ける試練とは?
  5. 子供に自信をつけさせるメンタルトレーニング
  6. SEXで大事なのは「触れあい」と「思いやり」
  7. 産後のママはどんな状態? 妻を支えるために知っておくべき『産後ケアの基本』...
  8. 子供が親によくする質問ベスト30を紹介「なぜ空は青いの?」
  9. 子供が怖い夢を見たらどうする? パパとママがしてあげるべきこと
  10. 男が「父親」に覚醒するための10の処方箋

雑誌&フリーマガジン

雑誌
「FQ JAPAN」

VOL.72 | ¥550
2024/9/9発売

フリーマガジン
「FQ JAPAN BABY&KIDS」

VOL.69 | ¥0
2023/5/31発行

特別号
「FQKids」

VOL.20 | ¥715
2024/11/9発売

お詫びと訂正

  第17回 ペアレンティングアワード