考える育児。大規模定住化が生んだ差別と尊敬の原因
2018/05/08
法外でこそ
人間は仲間を確かめられる
ただ、法外でこそ人間は仲間を確かめられます。なんかわからないけどいいよね、惹かれちゃうな、という感覚です。人間にはそういう働きがあるのですが、それを抑圧しながら言葉を使っています。多くの人たちは、その外側を参照しながら言葉を使っていましたが、それができなくなっています。その理由は仲間がいなくなったからです。
定住社会では仲間を守る手段として法を作るのですが、仲間がいなくなれば集団の目標がなくなり、法が目的になりがちです。多くの人間は仲間がいないと不安だから、法の外に出た人間、言葉にできない何かをしている人間を集団炎上的にバッシングして、インチキ仲間を作っていきます。そんなことが世界中で同時多発的に起こっています。この流れはマクロ的には止められません。
PROFILE
宮台真司
1959年宮城県生まれ。社会学者。映画批評家。首都大学東京教授。公共政策プラットフォーム研究評議員。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了(社会学博士)。『日本の難点』(幻冬舎)、『14歳からの社会学』(世界文化社)など著作多数。
FQ JAPAN DIGEST VOL.44(2018年春号)より転載