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時事・コラム

男女格差後進国の日本で、父親がすべきことは?

柚木みちよしの「日本イクメン増加計画!」。今回はジェンダー・イコールな社会の実現のために、必要なことは何かを考えていく。

元TBS記者の性的暴力
不起訴で見える日本の後進性

昨年、世界経済フォーラムが発表した「世界ジェンダー・ギャップ(男女格差)指数〈GGI〉」によると、対象となった世界144ヶ国中、日本はなんと114位でした。国が声高に女性の活躍を推進しているのに、ジェンダー・イコール(男女平等)な社会にはほど遠いということです。

さらに追い討ちをかけるような出来事が起こりました。ジャーナリストの伊藤詩織さんが元TBS記者の男性から性的暴力を受けたと訴えたものの、男性は不起訴処分に終わったという一件です。現在も民事訴訟は続いており、私も国会で詩織さんの手記などを紹介し不起訴処分の不当性を訴えてきましたが、この件を通して、日本の性暴力・性犯罪に対する法的整備、捜査態勢の後進性が露呈したと言えます。

今回の事案では、訴えられた男性が権力の中枢に近しい人物であったため、警察や検察の捜査の公平性が損なわれたのでは、と報道されています。本来このような国家権力による捜査は、三権分立の原則に則って公正性が担保されています。

三権分立とは相互不可侵なのではなく、それぞれが互いをチェックし合うことで正常に機能するものです。今回、日本では権力があれば、犯罪をもみ消すことができるという印象を国際社会にも与えたことで、社会的なフェアネス(公正性)が大きく損なわれたと言えるでしょう。

政治司法に求められる
「ジェンダー・イコール」

一方で、この問題の裏にはもうひとつ、日本でジェンダー・イコールが進まないことと密接に関連しています。それは、ジェンダー・ギャップの問題も性犯罪被害の問題も、どこかで「女性の問題」と捉えられているから。さらに言えば、待機児童問題も同様です。実際は男女関係ない社会問題なのに、それに対して当事者意識を持てない男性陣が政治や司法の中心にいるから、議論が進まず根本的に改善されない。そういう構造になってしまっているのではないでしょうか。

例えば、国会にもっと女性議員が増えれば、性犯罪問題やパワハラ、セクハラ問題は国会の場でよりクローズアップされるようになるでしょう。女性の管理職が増えれば、企業内でもハラスメントは減るでしょう。男女の賃金差や出世スピードの差といった制度面においても人々の意識や自己認識といった意識の面でもジェンダー・イコールが進めば、社会全体として性暴力や性犯罪が減る方向に動くと思うのです。

男性の育児家事参加
教育レベルの向上がカギ

そして、ジェンダー・イコール実現のためにもう一つ重要なのが、教育です。生物学的な差異があること、それぞれに特性や適性があることを理解したうえで、男女それぞれが尊重し合うことの大切さを伝える教育を、もっと充実させる必要があると思うのです。そして、そういう教育を受けて育った子どもたちは、自ずとパートナーと協力して家事・育児を行うようにもなるでしょう。いわゆる”イクメン”が増えれば、当然、DV(家庭内暴力)も減るはずです。

本当に暮らしやすい
日本に変えられる子育て世代

私たちイクメン議連が目指しているのは、男性が当たり前のこととして家事・育児に関わることで、夫婦が、そして男女が支え合う社会です。そして、その先にあるのは、男性にとっても女性にとっても生きやすく、セクハラや性暴力・性犯罪などセクシュアルな問題のないジェンダー・イコールな社会です。

実際、冒頭で紹介した世界ジェンダー・ギャップ指数のランキング上位には、北欧諸国が並んでいます。ご存知のように、北欧は男性の家事・育児参加率が高く(イクメンが多く)、ワークライフバランスの先進国でもあります。日本を本当の意味で暮らしやすい、生きやすい国にするために、私たち子育て世代から変わっていく、変えていくことが重要なのです。

 

PROFILE

柚木 道義 MICHIYOSHI YUNOKI

1972年岡山県生まれ。超党派イクメン議連の共同座長。2005年衆議院議員選挙岡山県4区にて初当選。現在、希望の党所属、衆議院厚生委員会委員・法務委員会委員を務める。プライベートでは長女6歳、長男4歳のパパ。


Text >> FUKA SASAHARA

FQ JAPAN VOL.46より転載

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