人間にできてAIにできない仕事って?
2018/04/17
「Hey Siri」「OK Google」 あなたが語りかけている、そのスマホにもAIがいる。すでに僕たちの身近な存在となった AIが進化していくことで、いずれ僕らの仕事が代替されると言われている。しかし、我々人類もさらに進化していくことで、 AIとの協働が生まれ、僕らは好きなことを好きなだけ追求できる、そんな時代がやってくる!
前回記事:AIが人類を滅ぼす? 2045年の「技術特異点」とは
人間がロボット的に
進化してきた20世紀
「AIが人の仕事を奪うのではな く、テクノロジーに代替できない、 人にしかできない仕事に、どうやって私たち人の仕事を進化させていくかを考えていくこと」。AI新時代において人間の進化が最も大事だと藤野氏は語る。
その藤野氏の考えるマトリクス分類(下図)は、AIが得意なこと苦手なことを知り、人間にしかできない価値を知る絶好の素材だ。
図の横軸左に置いているのは論理的・分析的・統計的な能力、いわゆる”エクセルっぽい能力”。反対側には感性的・身体的・直観的な能力、つまり”人間っぽい能力”。
縦軸の下に置いているのは、仕組み化された中で大量に実施する能力で、「構造的」と呼び、言い換えると「マニュアル化されている仕事」を意味する。その反対、上にあるのは、まだ仕組み化されていない物事に対して、問いを立てて仕組み化させていく能力で、これを「非構造的」と呼ぶ。
「では、AIが得意な領域はどこか? それは間違いなく左下の『オペレーター』がAIの得意な領域。 論理的に分析し、大量の情報から統計的に考え、高速回転で何度も何度も実施する。まさに疲れや飽きを知らないコンピューターやロボットが得意とする分野です。
実は20世紀とは、『人間をロボット的にする時代』であったともいえます。大量生産の仕組みが生まれ、たくさんの人間を同じ場所(工場や会社)に押し込め、同じような仕事をさせていくことが、大量生産の時代においては最も効率が良かったからです」。(藤野氏)
その生産力こそが当時の豊かさの指標であり、一番良いとされていた。日本の教育分野においても、コンピューター的な計算力や暗記力が評価軸となる偏差値が、頭の良さの指標であり、名門大学への切符であり、大手企業への入り口だった。日本人もまたロボット的に進化してきたと言える。
問い・疑問を持ち続ける
コミュニケーター
人が進化していくにはオペレーター以外の他領域を知る必要がある。つまりAIが代替されにくい領域。
「目の前の出来事を当然と思わず、 これって何か変じゃないか? という疑問を常に持ち、そもそもなんで? という原理原則から考え直す。そして、じゃあどうすればいいのか? という仮説を立てていく、 それを私は、仮説を立てる仕事『コミュニケーター』と定義しています。そこには好奇心が最も重要で、それはAIには簡単には代替されません。なぜならAIを使うのは人間だからです。何のために分析するのか、を考えるのは人間の仕事です。
そして、AIが出してきた分析結果に基づいて、『よし、こうしよう』と意思決定することもまた、人間にしかできない仕事です。私たちにはいつのときも現状に問いを持ち、AIを使って今の仕事を進化させる「仮説を立てる」ことが求められます」。
※次回予告リンクからはとべません。
PROFILE
藤野 貴教 氏
株式会社働きごこち研究所代表取締役。「人工知能の進化と働き方の変化」をテーマに研修・セミナーを開催。愛知県へ移住し、田舎で子育て真っ最中。
FQ JAPAN VOL.46より転載