AIが人類を滅ぼす? 2045年の「技術特異点」とは
2018/04/09
「Hey Siri」「OK Google」 あなたが語りかけている、そのスマホにもAIがいる。すでに僕たちの身近な存在となった AIが進化していくことで、いずれ僕らの仕事が代替されると言われている。2045年、我が子の未来はどうなっているのだろうか? 株式会社働きごこち研究所代表取締役の藤野貴教氏にお話を伺った。
「AIによって、我々は悪魔を呼び出そうとしている」
そう発言したテスラの創設者イーロン・マスクをはじめ、物理学者のスティーブン・ホーキング、ビル・ゲイツなど、世界的リーダーらはAIの驚異的進化の先にあるシンギュラリティによる人類滅亡を危惧する。
シンギュラリティとは、直訳すると「技術特異点」。2029年頃から人工知能(以下AI)が人の人間の知能を越えはじめ、2045年には、AIが全人類の知能を追い越し、計り知れない社会変化をもたらすという、AI研究の権威レイ・カールツワイルの仮説である。
AIは本当に人類にとって驚異なのか、今、世界中でその賛否が問われている。
AIと敵対するのではなく
AIと協働する
『2020年人工知能時代 僕たちの幸せな働き方』の著者・藤野貴教氏は、シンギュラリティに不安を覚える必要はないとアドバイスする。
「シンギュラリティが実際にくるかどうかはAI研究者の中でも意見が分かれています。私はAIのことを学び始めた当初は肯定派でしたが、 学べば学ぶほど、まだまだ先のことなんじゃないか、という考えになってきています。
わからない未来に対して、AIが人間を凌駕して、コントロールするようになったらどうしよう! と、漠然と不安を持つことは、あまり意味がないと思っています。なぜなら、本当に大事なのは、目の前の仕事をどう変化させるか、人間がどう進化していくか、ということだから」。
藤野氏はAIの進化と働き方の変化について研究している働きごこち研究所の代表であり、AIをうまく活用して、人間らしい働き方・生き方を提唱している。将来を考えるなら、AIと敵対する関係ではなく、AIと協働していく視点が大事だ。
AIの力を得て、
人間の能力は最大化する
AIと協働するとは一体どういうことなのか。すでにAIを活用した現代のビジネスで実装されている例で解説しよう。
近年「プログラミング知識がなくても誰でもAIが使える」動きがある。中でも注目されているのが、 アメリカのData Robot社のデータ分析AI。世界の優れたデータサイエンティストの知識や経験を自動化することで、スピーディかつ精度の高い予測モデルを構築できるサービス(日本ではリクルート社が出資)。
例えば営業職の場合、過去の顧客データを大量にAIに学習させ予測モデルを作成し、新規の顧客リストを解析させる。すると、AIはどの顧客が契約に至る可能性が高いかを、示してくれるというのだ。もし人心掌握に長けた営業マンに最強のデータサイエンティストの分析力が備わったなら、これほど強い営業力はない。いずれエクセルのような感覚で、データサイエンティスト並みの分析・予測ができるようになるという。
※次回予告リンクからは飛べません
PROFILE
藤野 貴教 氏
株式会社働きごこち研究所代表取締役。「人工知能の進化と働き方の変化」をテーマに研修・セミナーを開催。愛知県へ移住し、田舎で子育て真っ最中。
FQ JAPAN VOL.46より転載