クリエイターを育てるカギは幼少期に与える玩具!?
2017/06/13
子供の頃、心に灯った火は
走り続けるためのガソリンになる
―― デザイナーとして活躍されている今、子供のときの夢を実現させる秘訣は何だったと思いますか? 心に走ったその閃光が絶えることはなかったですか?
夢を実現させるには、信じること。ただ自分自身を信じるだけさ。もちろん僕だってデザイン学校を卒業したあと、すぐにホットウィールのデザイナーになれたわけじゃない。自転車であてもない旅をしたり、自動車の塗装をやったり、とにかくいろんなことを経験したよ。ただ、子供の頃、心に灯った火が絶えることは一度もなかったよ。それどころか走り続けるためのガソリンなったんだ。好きなことにチャレンジすることは自分を信じる燃料になって、僕らのエンジンを回し続けるものなのさ。
―― デザインチームのリーダーとして、みんなのクリエイティビティを引き出すコツはありますか?
デザインチームは20人いて、ホットウィールは初めから終わりまですべて、1人のデザイナーが担当するんだ。普通のカーデザイナーだったら、塗装まではやらないけど、ホットウィールのデザイナーは、金属を溶かすところから、金型に入れて成形(ダイキャスト製法)、ボディーの塗装、タイヤやエアロパーツなどのすべてのデザインを1人で担当するんだ。みんな正真正銘のクリエイターだから、僕はただ彼らの邪魔をせずに楽しんでもらうだけさ。その1つ1つの工程を楽しむこと自体、彼らにとっての最高の報酬だからね。
思い切って冒険させること。それが、
子供の自発性や創造性を導き出す
―― そのクリエイターとしての心構えは子育てにも通じる?
イマイ:もちろんさ。親ができることは、夢中になれる何かを見つける「きっかけ」を与えること。そこから先は、子供がやりたいことをただ邪魔せずやらせてあげるだけだよ。もちろん危険がないよう気を配ることは重要だ。でも、それと同じくらい重要なのは“冒険(=take a chance)”だと思う。神経質になりすぎて、安全な場所に子供を囲いすぎちゃダメだ。思い切って何かをやらせること、それが冒険することであり、チャンスをつかむことだからね。それが子供の自発性や創造性を導き出すんだ。デザイナーとして夢を実現させた僕もそうやって両親に育てられたんだ。この子育て法は、ぜひ実践してもらいたいね。
Photo » MIHO FUJIKI
Text » MIKAKO HIROSE