失敗しないで。子どものしつけで大切な3点
2016/11/11
子育てに正解はないというが、子供を傷つけて得るもののない不正解はある。心理学的に有効なしつけのヒントを、精神科医・香山リカ先生にうかがった。
威厳なんて見せなくていい
北海道七飯町・置き去り事件は、しつけの範疇をこえた行為だと思いました。ニュースのなかでは、「威厳を見せないといけないと思った」と親が話していたようですが、「腹いせ」に近いものがありますよね。「親は子供の命をどうにでもできる」というところを見せても、何のプラスにもりません。もちろん、子育てで感情的になる場面もあるかもしれないけど、お父さん、お母さんのどちらかがフォロー役に徹してほしい。でないと子供が救われませんから。
昔も酷いおしおきはあった
今回の件は、今の時代のお父さんがストレス状態に置かれているから……みたいな、現在社会が起こした問題ではないと思っています。むしろ昔のほうがおしおきは激しくて、家から閉め出すとか、柱にくくりつけるとかありましたよね。子供の人権が考えられるようになって、よくなった点も多いと思います。子供って見境がなくなることがあるから、おしおきが必要な場面もあるでしょう。でも、子供の影響を考えつつ、しつけをしていただきたいです。
<しつけ時に意識したいこと>
①誰かのせいにしない
「育児書に書いてあった」「〇〇先生が言っていた」というように誰かの言葉を借りるよりも、「私はあなたに〇〇してほしいと思っている」というように、自分の願いを伝えたほうが、子供に響くと思います。
②誰かと比較しない
「お姉ちゃんはできたのに、なぜあなたはできないの!」というように、誰かと比較して叱るのは人格否定であり、子供の心を深く傷つけることになります。悪いことをしたのなら、そのことについて叱りましょう。
③一方的に締め付けない
たとえば、ゲームやスマホをする時間を話し合いで決めるなど、子供と一緒にルールをつくることが大事です。自分がつくったルールを破って叱られるのなら、子供も納得するでしょう。
Text » TAKESHI TOYAMA
※FQ JAPAN VOL.40(2016年秋号)より転載