注目キーワード

基礎知識

子供の運動神経・能力を伸ばす科学的アドバイス

スポーツを限定せず
子供の本能と好奇心にまかせて

fq_und20161101_02

基礎的運動を習得する幼児期・児童期には、人間の持つすべての運動パターンが習得される。つまり、人間の生活に必要な運動のための幅広い土台を作る時期。専門化された運動の段階への移行が始まるのは早くても7歳以降。
体育科学センター体育カリキュラム作成小委員会の調査によると、2週間にわたって1日1時間の自由遊びの場面での幼児期の子供の動きを観察したところ、「走る」「掘る」「転がす」「引っ張る」「ぶらさがる」「くぐる」「こぐ」「投げる」など、じつに84ものパターンの動きが見られたという。これは大人が行う運動パターンのレパートリーをほぼ網羅する。つまり6、7歳頃までに大人と同レベルにまでに基礎的な運動能力が発達し、人間が生きる上で必要な運動の土台が築かれる。だから、早期から1つのスポーツに絞った習い事は、大きなリスクを伴うのだ。



「スポーツを限定して、もしその子の特性に合っていないと悲惨です。幼児期は、好奇心や関心によってもたらされる内発的動機づけが強い時。森には、子供の好奇心と興味を刺激するものがいっぱいです。多彩な地形が多様な運動を引き出します」。

親としてできることは、遊ぶ時間と場所の確保。なるべく毎日1時間以上の外遊びが理想だという。さらに、杉原教授は言う。

「人間は生まれつき、自分の能力を向上させたいという根源的な欲求を持っています。それを追求している行動が“遊び”なのです」。


【PROFILE】

杉原 隆 教授

東京学芸大学名誉教授。一般財団法人田中教育研究所所長。
主著書『幼児期における運動発達と運動遊びの指導~遊びのなかで子どもは育つ』(ミネルヴァ書房)他多数。


Text » MIKAKO HIROSE

FQ JAPAN VOL.39(2016年夏号)より転載

12

関連記事

育児アイテム名鑑

アクセスランキング

  1. 日本人がセックスレスになりやすい理由は? 1年で約140回のギリシャ夫婦との違い...
  2. 旅ライターが選ぶ冬の子連れスポット6選!施設選びのポイントと注意点を紹介...
  3. 「自閉症は人格。治すものじゃない」映画のモデルとなった父子が今思う、社会の在り方...
  4. 男だって泣きたい…離婚後に待ち受ける試練とは?
  5. 子供に自信をつけさせるメンタルトレーニング
  6. SEXで大事なのは「触れあい」と「思いやり」
  7. 子供が親によくする質問ベスト30を紹介「なぜ空は青いの?」
  8. 子供が怖い夢を見たらどうする? パパとママがしてあげるべきこと
  9. 男が「父親」に覚醒するための10の処方箋
  10. 産後のママはどんな状態? 妻を支えるために知っておくべき『産後ケアの基本』...

雑誌&フリーマガジン

雑誌
「FQ JAPAN」

VOL.72 | ¥550
2024/9/9発売

フリーマガジン
「FQ JAPAN BABY&KIDS」

VOL.69 | ¥0
2023/5/31発行

特別号
「FQKids」

VOL.20 | ¥715
2024/11/9発売

お詫びと訂正

  第17回 ペアレンティングアワード