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企業への助成金で男性の育休取得率向上か!?

男性の育休を推奨する企業への助成金を新設することを、厚生労働省が発表した。賛否あるようだが、大筋において私はこのアイディアに賛成だ。

 

国を挙げてイクメンを推進しても、男性の育児休業取得率は一向に上がる気配を見せない。これまでの施策、何かがずれていた。そこでこのたび、男性の育休を推奨する企業への助成金を新設することを、厚生労働省が発表した。1人目の従業員が育休を取れば30万円、2~5人目は15万円を企業に支払う。主に中小企業における男性の育休取得を後押しする狙いだ。賛否あるようだが、大筋において私はこのアイディアに賛成だ。

以前私はこのコラムで、次のようなことを書いた。

余剰人員の少ない中小企業にとっては、妊娠や出産、育児で人員が欠けることは非常に厳しいのも現実。マタハラ、パタハラなどというと、企業の体質が批判の的になることが多いが、そもそもこれらの対策は、企業による福利厚生的な性格のものではなく、国による社会保障の範疇であるという認識のもとで議論を深めていく必要がある。
経営者もいっぱいいっぱい。今回のような方針や数字だけが企業に押し付けられれば、イクメンになりそうな男性をそもそも雇用しないという動きが強まる可能性だってある。つまり企業へのサポートも必要。
(男性の育休取得率アップの)実現のために必要なことは根本的には社会のムードだと私は思うが、あえて具体的な攻略ポイントを挙げるなら、3つ。
(1)会社の中での競争圧力の緩和(出世競争みたいな文化)
(2)育休中の給付金の増額
(3)企業への補助制度の充実
とくに(3)についてはほとんど議論されていないのが気になる。
大切なので、何度でもくり返す。産休・育休・病児保育などは、企業による福利厚生的な性格のものではなく、国による社会保障の範疇であるという認識のもとで議論を深めていく必要がある。

(参照「少子化対策を企業努力に委ねるな!」)

上記(3)の「企業への補助制度の充実」とは、育休の取りやすい職場環境を作りたいなら、そうするだけのインセンティブを企業側に与えなければならないという主旨だ。

「仕事にも役立つから育児しよう」とか「お金がもらえるから育休を取ろう」などと、個人に対して経済合理性に基づいたインセンティブを提示して、育児や育休の促進を図ることに私は反対の立場である。このような理屈を用いれば、「仕事は十分できるから育児はしなくていい」「お金は十分あるから育休は取らなくていい」という理屈も成り立たせてしまうからだ。子育ては経済合理性に基づいて行うものではない。生きるものとしての営みだ。そこを揺るがしてはいけない。

一方、企業というものは基本的に利益を追求する組織である。利益につながるものは利用するし、つながらないものは切り捨てる。いくら「多様な働き方」といわれても、これまでの育休制度では、従業員が育休を取ると、企業への負担が増すだけだった。いかに育児に理解のある管理職を育成しようとも、背に腹は替えられなかった。しかし今回の制度で、少なからず企業へのメリットが創出されるはずだ。

金銭的インセンティブは、従業員個人よりもむしろ企業に強く働く。要するに、企業のほうが個人よりも“ゲンキン”であるということ。今回企業に対して、特に中小企業に対して男性の育休取得へのインセンティブが与えられたことで、これまでどうやっても上向かなかった男性の育休に対する潮目が変わるような予感がしている。今後の男性の育休取得率に注目したい。

0407_01育児・教育ジャーナリスト
おおたとしまさ(TOSHIMASA OTA)
株式会社リクルートを経て独立。男性の育児・教育、子育て夫婦のパートナーシップ、無駄に叱らないしつけ方、中学受験をいい経験にする方法などについて、執筆・講演を行う傍ら、新聞・雑誌へのコメント掲載、ラジオ出演も多数。
>> おおたとしまさの著書一覧

●おおたとしまさ氏の記事 一覧
https://fqmagazine.jp/tag/fathers-eye/

(2015.10.6up)

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