少子化対策を企業努力に委ねるな!
2015/04/06
(1)「男性の育休率13%」について
「男性の育休取得率13%」は、国が「本気」になれば、不可能な数字ではない。「本気」というのは、これらの数値目標の達成を、企業努力の結果に委ねるのではなく、国として社会保障の範疇であるという認識のもとに取り組むということ。
もちろんそのための財源はどこかという問題があるのだが、個人的には軍事費よりもこちらにお金を回してほしい。
それとは別に、みんなまじめだなと思う。数字を掲げられるとなんとしても達成しなければと思ってしまう習性が身に付いているみたい。だから会社でも売り上げ目標を掲げられちゃうとつい残業してまでがんばっちゃう。だから育休が取れない…みたいな逆説がある。数字は数字。もうちょっと肩の力を抜いて考えたほうがいい。
そもそも育児と仕事を「両立」しようとするからいけない。
これから育児をはじめるということは、新規事業の立ち上げをするようなもの。今までの業務と併行して新規事業を立ち上げるなど至難の業。今までの業務については多少業績が悪化してもいいからと割り切り、できるだけうまくしくみで回しながら、新規事業のほうに軸足を移さないと、新規事業はうまくスタートできない。だから「両立」ではなく、一度、育児もしくは家庭に軸足を置くという勇気が必要。いったん軸足を家庭において、そっちの足場をしっかり固めてからまた仕事に軸足を移せばいい。そうやって時間軸の中でバランスをとればいい。
(2)「男性の産休80%」と(3)「マタハラ・パタハラ対策」について
男性も産休を取ることを当たり前の社会にしようという意思表示。評価できる。実現も不可能ではない。一方で、むやみに休んでもだめ。この時期に男性は何をすべきなのか、モデルケースを示す必要がある。
また、本気でその数字を目指すなら、目標達成を企業努力だけに委ねてはいけない。国がイニシアチブを取るべき。
余剰人員の少ない中小企業にとっては、妊娠や出産、育児で人員が欠けることは非常に厳しいのも現実。マタハラ、パタハラなどというと、企業の体質が批判の的になることが多いが、そもそもこれらの対策は、企業による福利厚生的な性格のものではなく、国による社会保障の範疇であるという認識のもとで議論を深めていく必要がある。
経営者もいっぱいいっぱい。今回のような方針や数字だけが企業に押し付けられれば、イクメンになりそうな男性をそもそも雇用しないという動きが強まる可能性だってある。つまり企業へのサポートも必要。