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妻に卑下される夫の価値。

「母親同士の会合で悪口を言われ放題のダメ夫が、実は役に立っている!?」教育・育児ジャーナリスト・おおたとしまさ氏による月イチコラム。

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母親同士の会合で出てくる夫の話題とは?

「男性も育児を、男性も家事を」という正論の一方で、本人としては一生懸命やっているつもりなのに、妻からその努力を認めてもらえない夫というのもいます。ある母親は、幼稚園の母親同士の会合に出席して驚いたと言います。母親たちの口から、夫の悪口がいくらでも出てきたからです。

たしかに子育ては楽しくて大変です。思い通りにいかないこともたくさんあります。それが仕方ないことは、みんなわかっているんですね。でもどこかにそのやり場のないストレスをぶつけたい。そういう気分になってしまっている妻は、他人が聞けばさほど大きな問題でないと思えるようなことでも、ちょっとした落ち度を見つけて夫を批難します。ちょうどいい避雷針が夫であったりするわけです。

昔の大家族であれば、子育ての負担はたくさんの登場人物によって分担されていました。しかし今は母親だけにその負担と責任が覆い被さりがち。母親のストレスのはけ口となる井戸端会議というのもなかなか存在しません。先ほどの母親の会合が、かろうじてその役割を果たしているのでしょう。

だからこそ子育ての負担をできるだけ分担し、妻の話し相手にもなることが、男性に求められているわけですけれど、それだけで十分とは言い切れません。物理的にどこまでやれば妻の負担は軽減されるなんて目安はありません。極めて属人的なものなのです。

ダメ夫の隠れたファインプレー

「ありがとう」のひと言でがんばれるという母親もいるでしょうし、ほとんどの家事を夫が担っていても不満が絶えない母親もいます。「奥さんが不機嫌なのは夫のがんばりが足りないから」とは一概に言えないのです。「これとこれをすれば奥さんはご機嫌になる」なんて方程式はありません。

いつも笑顔でいられる夫婦というのは理想ではあります。でも、「むしゃくしゃしているなら、漠然とした不満があるなら、ストレスに耐えきれなくなっているなら、どうか僕にぶつけてくれ。それでも僕は君のことを愛している」と言える父親も、ある意味立派だと私は思います。

核家族子育てにおいては、避雷針という役割も、大切なんじゃないかと思います。「母親はストレスフル」というのは今や社会的定説です。そのストレスのはけ口が子供に向かってしまったら虐待ということにもなりかねません。

母親の会合で、悪口を言われ放題のダメ夫も、回り回って結構役に立っているのかもしれません。隠れたファインプレーを連発しているのかもしれません。必ずしも、周りから「理想のイクメン」ともてはやされることばかりが、父親の役割ではないと私は思います。

だから、「妻から卑下されがちだなと思っていても、顔で謝り、心の中では自分をほめてやってください」というのが、私から全国のパパたちへのエールです。父親にはときにそういうしたたかさも必要です。

0407_01育児・教育ジャーナリスト
おおたとしまさ(TOSHIMASA OTA)
株式会社リクルートを経て独立。男性の育児・教育、子育て夫婦のパートナーシップ、無駄に叱らないしつけ方、中学受験をいい経験にする方法などについて、執筆・講演を行う傍ら、新聞・雑誌へのコメント掲載、ラジオ出演も多数。
おおたとしまさの著書一覧

●おおたとしまさ氏の記事 一覧
https://fqmagazine.jp/tag/fathers-eye/
 

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