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インタビュー

悲しみを乗り越えた“最強の父親”リーアム・ニーソン

映画「フライト・ゲーム」に主演しているリーアム・ニーソン。彼は“熱血パパムービー”「96時間」シリーズでも主演を演じ、世界中のイクメンたちの共感を集めている。「父親なら、家族のために何だってするさ。」と語る彼にインタビューした。

「世界でどれぐらいの親があの映画を見たかは知らないが、10人のうち8人は親だとしようか。親なら子供のためになんだってするもんだ。特に子供がトラブルに巻き込まれた時にはね。人々はその点に本能的に共感したんだと思う。〝もちろん、私だってまったく同じことをするぞ〞、とね」。

闘う父親を演じたリーアムは、「96時間」シリーズが世界中で支持を得た理由を、子供を守ろうとする親の気持ちへの共感にあると分析する。

リーアムのソフトで軽快なアイルランドなまりは、細身で筋肉質の6フィート4インチ(約1メートル93センチ)の体格とは対照的で、この二面性こそ62歳になる彼の多彩な経歴を培ってきた。オスカーや英国アカデミー賞ノミネートにゴールデン・グローブ賞を3回も受賞するなど輝かしい功績とともに、以前はハリウッドセレブらしいきらびやかな生活を送っていたリーアム。しかし映画で共演した女優ナターシャ・リチャードソンと1994年に結婚し、2人の息子の父親となったことで、大切に思うものが大きく変わったようだ。

「ハリウッドではたくさん無意味なことがある。何年も前には自分もその一員だったけどね。クラブナイトの仕切りまでやっていた時期もあるくらいだ。でも今、仕事をするのは好きだけど、仕事をしていない時は家族と家で過ごしたり、子供とフライ・フィッシングに出かける。そんな生活を愛しているんだ」。父親として新たな幸せを見つけ、充実した日々を送っていたリーアムはそう語っていた。

しかし、悲劇は突然起きた。2009年に、最愛の妻ナターシャが不慮の事故に合い急逝したのだ。おしどり夫婦を襲った突然の訃報に、世界中からお悔やみの声が相次いだ。受け入れがたい妻の死。いまだ悲しみから抜け出せない彼はそれ以来、ひたすら仕事やトレーニングに没頭することで、つらい日々を乗り越えようとしている。

「トレーニングは毎日欠かさず行っているよ。自分が何歳なのか十分に分かっているし、もしもケガをしたら、それだけで激しいアクション映画の主役を逃してしまう可能性だってあるからね」。

大きな悲しみの傷は完全には癒えることはないが、残された息子たちと共に、“最強の父親”は前向きに歩き始めている。

※FQ JAPAN vol.25(2013年冬号)より加筆修正
(2014.10.6up)

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