尾木ママ 教えて!「なぜ子供に自然が必要なの?」
2014/08/25
答えのない世界にどう立ち向かう?
我々が平和で持続可能な社会をつくっていかなければならないことに、疑いの余地はない。しかしながら、どこかにそのお手本があるわけではない。
「世界を見渡すと問題だらけでしょ。未知との遭遇もたくさんあると思うわ。私たちはこれから、そんな答えのない世界に向き合っていくわけです。そのためには、非日常体験をたくさん蓄積しておくことが大切。自然の中って予想外のことがたくさん起こるでしょ。そこで判断する力をつけることは、教室で勉強することよりも意味があることなの」。
答えのない世界に向かうためには、家族関係も進化させていく必要がある。
「リーマンショックや東日本大震災以降、家族の絆が叫ばれるようになりました。成熟した市民社会では、自分たちで課題を見つけて、それを解決していくことが求められます。つまり、自立した個人が集まるチームとして、連携していくことが不可欠になってくるの。親と子の上下関係に縛られるのではなく、一人ひとりが自立し、個性を発揮する家族の絆こそ、これからの時代を生き抜くカギになると思います」。
全ての教育の基礎が自然の中にあるとしたら、そこに行かない理由はない。我が子の教育に熱心な人ほど、テキストを放り出して、自然の中に飛び込むべきなのだ。
パパたち、頑張りすぎないで、楽しんでね!
何事も押しつけがましくやってはダメ。「自然から何かを学べ」というのは、子供はプレッシャーでしかないの。私は自分自身がキャンプが好きなので、ワゴン車を買って、子供を連れてキャンプしたわ。自然に触れるのが難しければ、家族で料理してみるとかでもいいの。そのときはガスだけを使うとか、一日は電気を消して暮らしてみるとかね。そんなちょっとしたワクワク原体験を考えるのも、きっと楽しいわよ。
NAOKI OGI
教育評論家、法政大学教職課程センター長・教授、臨床教育研究所「虹」所長。早稲田大学卒業後、高校・中学校教師として22年間教育を実践。現在も大学で教壇に立つ傍ら、現場に密着した調査・研究に精力的に取り組む。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌にも多数出演。「尾木ママ」の愛称で老若男女に親しまれている。2013年、「イクメンオブザイヤー2013」のイクジイ部門受賞。
Text >> TAKESHI TOYAMA Photo>>HARUCHIKA KEIRA
※FQ JAPAN vol.31(2014年夏号)より転載
(2014.8.25up)