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インタビュー

父親となったマット・デイモンにベン・アフレックから子育てアドバイス

『ボーン』シリーズの成功によって、もはやハリウッドのトップアクターの地位を不動のものにしたマット・デイモン。妻ルーシーの2人目の懐妊を発表し、父親としても絶好調だ。初めての実娘との刺激的な生活、そして無二の親友ベン・アフレックとの心温まるエピソードを聞いた。

撮影よりも、おむつ交換の方が大変

FQ 父親になってよかった事は?

マット・デイモン(以下MD) 全部だよ。子供を持った人は誰もが「言葉なんかでは表現できない」って言うけど、まさにその通りだね。僕はいつも「ギターコードを説明しろって言ってるようなもんだ」って答える。
本当にうまく言い表せない。うまく言えないくらい、びっくりするほど人生のすべてが変わってしまったね。

FQ 生活はどう変わった?

MD 『ボーン』の撮影中、監督のポール(・グリーングラス)が「本当にひどい顔をしてるなあ」って言うんだ。僕は「だろ?娘が一晩中、寝てくれなくてさ」って言ったら、「いいねえ。役にぴったりじゃないか」だとさ。冗談じゃなく、撮影よりも、おむつ交換の方が大変だったかもしれないよ。

「変わった事」といったらそういう事だね。それまでの自分の人生がどんなにちっぽけな世界のものかよくわかった。以前は、一日中働いた後にジムなんかに行って、翌日に備えるのが普通だった。すべてが翌日の仕事や予定を中心にまわっていたんだ。

でも、ある日突然そうではなくなった。万全の体調で仕事をして1日が終わると、まず娘に会いたくてしょうがなくなったんだ。ジムへトレーニングに行く事なんかよりも、家に帰る方を優先してしまう。だから、撮影の最後のほうでは、ポールは僕のお腹の辺りを避けて撮っていたんじゃないかな。だって、ジム通いをやめちゃったから。

家族がいればどこでも「ホーム」

FQ あなたにとって“ ホーム”とは?

MD 以前ならば、出身地である「ボストン」って答えていたと思うけど、ニューヨークにも何年も暮らしたし、今はマイアミに住んでいる。だから今「ホーム」はどこかと聞かれたら、迷わずに「家族がいるところ」と答えるね。本当にそこが家だと感じるんだ。

FQ 子供がいる今、もっと家にいたいと思う?

MD ずっと家にいるのは仕事の都合で難しいけれど、娘とはなるべく一緒にいるようにしているよ。これが結構大変でさ。娘が生まれた最初の年、ヨーロッパから飛行機でマイアミに帰ってくる途中のどこかで、生後11ヶ月だった娘のパスポートを見たんだ。そしたら、驚く事に、もう11個もスタンプがあった。それもEU圏内の国々を移動した分は入れずにだよ。(※EU圏内の越境で、パスポートにスタンプは押されない)

FQ 飛行機の機内で、娘さんはいい子にしてた?

MD たいていはいい子にしているけど、赤ん坊だからね。大変な事も何度かあったよ。印象深いフライトは、パリを出る時だったね。エールフランスのファーストクラスに乗った時、その便のファーストクラスには座席が4つしかなくてさ。

妻が赤ん坊と一緒に座り、あとは僕と義理の娘(アレクシアちゃん)が1席ずつ、残りの席には女性が1人いた。僕らはこの座席をスタジオにとってもらったけれど、この航空券の値段は本当に高いんだよ。つまりその女性は、くつろいだ旅をするために、嫌になるほど高い飛行機代を払ったって事なんだ。だから、ずっと騒がしい僕の赤ん坊が同乗している事が申し訳なくて……。

ところが、彼女は気にも留めないようだった。マイペースに自分のしている事に集中しているんだ。離陸から着陸まで赤ん坊が泣きどおしだったというのに、彼女は本を読み、食事をし、映画を見て、眠っていた。

信じられないだろ? 僕は妻のルーシーに「この人、耳が聞こえないんだよ。そうに違いない」って噂してたんだ。その真偽がどうしても気になっちゃって、到着した空港の税関で、並んでいる彼女に声をかけたんだ。

「すみません、そばに座っていた者なんですが……」と僕が言うと、「ええ、あなたがどなたかは存じていますわ」って返答した。「機内でご迷惑をおかけした事をお詫びしたくて」と言ったら、彼女は僕を見つめて、「私には子供が9人おりますの。35年間、子供を育ててきましたのよ」だって。

すごいよね。多分、60歳くらいの女性だった。(僕らを横目で見ながら)子育て当時を思い出していたんだって。

まあ、この時はラッキーだったけど、長いフライトの時は夜の便にする事にしたよ。昼間に飛ぶのはやめた。それに子供が歩くようになったら……。考えるだけでも恐ろしい(笑)。

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