【小児科医監修】子供が虫に刺されたら?動物に噛まれたら…?子供のケガ応急処置マニュアル
2024/11/01
動物に噛まれたり、虫に刺されたり……外出先で子供がケガをしてしまった場合、どうすればいいのか?そんな「想定できないケガ」に対して、小児科医が症例ごとに対処法を紹介します。
【その1】日常で起こるケガ(擦りむいた・切った・刺さった・ぶつけた・やけど・ねんざ・つき指)
【その2】頭や顔のケガ(顔をぶつけた・頭をぶつけた・打った誤飲・誤えん)
【その3】外出先(公園、山、川、海)で起こるケガ(動物に噛まれた・おぼれた・かぶれた・虫に刺された)
「想定できないケガ」が起こりがちな外ではあらゆるリスクの可能性を考えよう。とはいえ常に緊張状態を持続するのは不可能でもある。少なくとも子供から目を離さず、万が一に備え状況を把握しておくことが重要だ。
動物に噛まれた
●出血や細菌感染、破傷風
●サルモネラ菌による下痢
傷口を低刺激の石けんで洗って消毒。圧迫して止血し、腫れていれば冷却を。ミドリガメは半数以上がサルモネラ菌を保菌しているので、触ったら手洗いは必須。毒ヘビならすぐに救急車を。
基本は安全第一
河原や草むらへは長ズボン長靴を。動物を飼っているなら、かわいいからといって小鳥などに口移しで食べ物をあげるのは禁物。くちばしで突かれると腫れたり熱を出すことも。
おぼれた
●低ナトリウム血症
●嘔吐・意識不明
水から上げるときは頭は胸より下にした状態で。衣類を脱がせ、毛布で体を包んで体温低下を防ぐ。声がけして反応があれば安心。意識がなければ、あごを軽く上げて気道を確保すること。
むやみに揺すらない
大量に水を飲むと血液が極端に薄まり、命の危険に関わる。とはいえ、揺さぶったり、お腹を押すのは禁物。反動で水を吐き、吐いたものが気道から肺に入るおそれがあるため要注意。
何かでかぶれた
●皮膚表面の水疱・膿胞
●炎症、じんましん
砂遊びが原因の「砂かぶれ」も。接触性皮膚炎の原因物質となっている砂、化学薬品、化粧品、アルカリ、衣類の繊維、植物などを取り除き、流水できれいに洗い流す。原因や症状、体質によって治癒法が異なるので、皮膚科の受診を。
自己判断せず病院へ
アレルギー性皮膚炎がある子供は悪化する場合も。原因や症状、体質によって治療法が異なるので、家庭にある軟膏など何もつけず皮膚科を受診しよう。
虫に刺された
●とびひ
●ハチ毒なら腹痛やめまい
ハチなら粘着テープで針を抜き、直接指で抜かない。その後流水で洗って冷却。
毒蛾なら、頭や体を振って毛を飛ばし、洋服を全部着替えさせて粘着テープで毛を取り除いて流水で洗う。
薬はむやみに塗らない
薬は自己判断でつけない。かゆみ止めで逆に悪化するケースも。ハチに刺されるのが2回目の場合は緊急事態。1時間以内に毒を中和する必要があるのですぐ救急車を。
心肺停止状態になったら?
監修
鈴木洋(すずき よう)
信州大学医学部卒業。東大病院、愛育病院勤務を経て、90年に「鈴木こどもクリニック」を開業。著書に「ぞうさん先生の子育てトーク」(毎日新聞社)、「初めての育児0〜3歳」(西東社)など多数。
参考文献「こんなときどうする!?子どものけが」鈴木洋 著(チャイルド本社)
Illustration » KOUICHI KITA
FQ JAPAN VOL.22(2012年春号)より転載
※2014年に公開した記事の更新版です