子どもの6人に1人は精神的な悩みを抱えている?親が心がけるべきメンタルヘルスケア
2023/08/16
6人に1人の子どもが精神的な問題を抱えている言われる昨近。子どもが精神的に辛い状況に陥った場合、親としてどのように接し、支えてあげられるだろうか? 若者のメンタルヘルスを支援するキャンペーン「Boat of Hope」を立ち上げたバーニー・ハリウッド氏に話を聞いた。
いつでもオープンに話せる
家庭環境を作る
メンタルヘルスに悩む子どもの数は近年増加しており、危険視すべきレベルに達している。にも関わらず、その多くが必要な支援を受けられずにいる。心の内を話す機会がなければ、子どもは自分の気持ちを押し殺し、周りから理解してもらえないと感じるだろう。ただ、親にとっても子どもが心の悩みを打ち明けられるようなタイミングを作ることは簡単ではなく、何を話してあげればいいのか戸惑うこともあるだろう。
特に幼い子どもがいる場合、家族内で話題にするのは難しいかもしれない。ただ、精神的な問題を抱えていることをオープンに話せる家庭環境を作ることは、子どもにとって大きな意味になる。バーニー氏は、精神的な問題に関する社会的スティグマを払拭し、こういったセンシティブなトピックでも当たり前に対話することが重要だとアドバイスする。
注意したいのは、精神的に追い詰められてからやっと話をするのでは遅いということ。自分でコントロールできなくなる前に、心の悩みをサポートする体制を作ってあげよう。幼い頃から定期的に心の状態を話して一緒にチェックするようにすれば、子どもは自分が悩んだときにパパ・ママに相談できると判断するようになる。
では、子どもが話したがらない場合どうするべきか。心の悩みを話すのは誰にとっても辛いことで、心を開くのに苦労する子どももいるだろう。メンタルヘルスに対する社会的タブーがなくなるには、まだまだ時間がかかる上、こういった話題は最初のうちはとても気まずく感じるものだ。
まずは「いつでも話していいんだよ」と子どもに声をかけて安心させてあげよう。口頭で言うのがためらわれるのであれば、LINEなど別のコミュニケーションツールを使っても良いだろう。パパ・ママが側にいて、話を聞く準備ができていることを伝えるだけで、十分に効果がある。
このように、子どもに辛い時は「辛い」と言っていいことを、普段の会話で示してあげるのは大切。ただ、時には専門家のサポートが必要な場合もある。そのタイミングを知っておくことも同じように大切なのだ。子どものことが心配な場合は、医師やメンタルヘルスの専門家に相談を求め、適切な指導を受けるようにしたい。
親として子どもが抱える心の悩みをサポートするのは難しいことだが、子どもとしっかりと対話するよう心がけることがポイントだ。子どもが辛い状況に陥るのを防ぐためにも、早速対話を始めてみよう。
教えてくれた人
バーニー・ハリウッド
冒険家。若者のメンタルヘルスを支援するキャンペーン「Boat of Hope」のために、大西洋を3,000海里漕いで横断し、その過程で慈善団体に多くの資金を調達。航海中、学校を回って子どもたちが心の健康について話し合うきっかけを作った。
子どもにも息抜きは必要?
学校や保育園は、子どもにとって脳をフル回転する場所でもあり、心も体も疲れていることも多い。そのため、イザベル氏は「息抜きの時間を親が与えることが重要」だと語る。
まず実践できるのは、おやつ。血糖値が低くなりすぎると活動に支障が出るため、フルーツやグラノーラバーなど、健康的なおやつを食べさせてあげよう。次に、一人の時間を設けてあげること。パパ・ママも、一人になりたい時があるのと同じで、子どもにもそんな気分の時がある。学校から帰った子どもの反応が悪ければ、そっとしておいてあげよう。最後に、決定権を与えること。イザベル氏の家では、簡単なアクティビティが書かれた棒キャンディを瓶に入れて、子どもが選んだキャンディのアクティビティを一緒にするそう。
また、これらのアクティビティに特別なルールは決めず、自由に遊べるようにするのがポイント。下ではイザベル氏がオススメするアクティビティを紹介する。
●粘土
シナモン、ローズマリー、ジャスミンなどのアロマを粘土に加えれば、リラックス効果も
●読書
読み聞かせをしてあげると、子どもはふと心が落ち着く。子どもに本を選んでもらい、一緒に物語の世界に浸ってみよう
●水遊び
洗面器などの深めの容器に水を張り、瓶とスプーンをいくつか入れる。瓶に溜めた水を他の瓶に注いでいく。準備も簡単で手間もかからない。
●散歩
新鮮な空気を吸うことで、リフレッシュでき、気持ちが落ち着く。歩く方向を子どもに決めさせたり、どんぐりなど自然のお宝をたくさん見つけて帰ってくるのをミッションにしても楽しい。
●アート&クラフト
落書きや色塗り、水彩画、切り貼りなどのアートやクラフトは、いずれもストレス解消にぴったりの方法だ。親からやり方を教えたり指導しないことがポイント。最終的な出来よりも、過程が重要。
教えてくれた人
イザベル・フィッシャー
3歳以上を対象にした知育グッズのサブスクリプションサービスを行う「Little Hands Learning」の共同設立者。
FQ JAPAN VOL.67(2023年夏号)より転載