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男性育休取得の4つのポイントとは?『男性の育児休業取得促進シンポジウム』レポート

2022年10月1日に施行された「産後パパ育休」。男性育児休業の取得を促進するためには、どのような視点を持つべきなのだろうか。「男性の育児休業取得促進シンポジウム」で取り上げられた4つの観点を紹介。

男性の育児休業取得促進
シンポジウムを開催

厚生労働省の委託事業「イクメンプロジェクト」では、男性の育児休業取得を促進する取り組みを行っています。改正育児・介護休業法による「産後パパ育休」(出生時育児休業)等の施行に向けて「男性の育児休業取得促進シンポジウム」をオンラインで開催しました。

政府は、男性の育児休業取得率を2025年までに30%以上にするという目標を掲げ取組を推進しています。企業、労働者がどのように考え、取り組むことが有効か、シンポジウムには駒崎弘樹氏、小室淑恵氏、坂田匠氏、徳倉康之氏、藤村侯仁氏(登壇者詳細はコチラ)ら5名が登壇し、改正育児・介護休業法の解説と先進企業等の事例紹介、パネルディスカッションが実施されました。

参加者からは、「人事担当として法改正への対応を第一に考えていたが育休をきっかけに広い視野で考えられた」「具体的なアプローチの方法がわかった」「夫に聞かせたい」などの声が聴かれました。今回はシンポジウムで取り上げられた4つの観点を紹介します。

男性育児休業の
4つの観点

1 育児休業を取得しやすい職場環境
男性の育児休業取得促進について、小室氏は「管理職、本人、同僚それぞれの理解が必要」と訴えた。「産後うつ病のリスクは産後2週間~1ヶ月前後がピーク。妻と子どもの命を救うため夫の育児休業が必要。また、この時期の夫の育児参加は、今後の夫婦のあり方に影響を与える。」と本人だけでなく管理職・同僚にも説得力があるアプローチを紹介した。

また藤村氏は「(育休中は)育児よりも家事の戦力として求められることも多い。」と述べ、育休中の育児・家事への関わり方、事前準備の必要性についても意見が交わされた。

2 育児休業中の収入減について
育児休業をとらなかった理由として「収入が減る」という声も多くある。坂田氏は、「育児休業中の収入をシミュレーションしたものを総務から本人に提示して育休取得を促している。(育児休業給付や社会保険料免除により)それほどマイナスにならないことが分かる。」と自社の取組を紹介した。

徳倉氏からは「長い人生のキャリアを考えた場合、育休の取得により夫婦で長く働くことの経済的効率性も考えては。」との発言があり、藤村氏からは「育休取得は、それ(給与)よりも得がたい価値がある。」と実感のこもった意見が述べられた。

3 経営者・管理職の理解
男性の育児休業取得については、年配の世代には理解されにくいという声もある。

管理職へのアプローチについて小室氏は「上司の世代の働き方を否定しないことが重要。当時は長時間働く、育休は考えられないというのが正解だった。でも、今は育休をとるのが当然。時代の変化を理解してもらう。」と述べた。

坂田氏は残業ゼロや男性の育休取得を進めた結果、「誰も関心を持たない金属屋根の部品メーカーにどんどん優秀な人材が応募してくる。」と採用活動における優位性、コスト削減をアピールした。小室氏は2023年4月からの育休取得率の公表については採用活動における大きなムーブメントになることが見込まれるため、経営者層がコミットする重要性を訴えた。

4 誰が休んでも回る職場づくり
育児休業の重要性は理解できるが、業務が回らないから困るという声も。(株)サカタ製作所では、業務を見直し、属人化を解消。誰が休んでも対応できる体制を構築している。坂田氏は「育休は事前に準備ができるためトップが強い決意をもって取り組むべき」と話した。

ファシリテーターを務めた認定NPO法人フローレンス会長 駒崎弘樹氏からは、「男性が育児休業をとるのがあたりまえの職場になれば、コロナ対応にも強い、イノベーションにも勝てる組織をつくることができる。法改正がゴールではない。」と今後の取組に向けて力強いコメントが述べられた。

【まとめ】
●男女とも育児休業を取るのがあたりまえの時代に

『男性の育児休業取得促進シンポジウム』

【コーディネーター】

認定NPO法人フローレンス
代表理事

駒崎弘樹

【パネリスト】

株式会社ワーク・ライフバランス
代表取締役社長

小室淑恵

株式会社サカタ製作所
代表取締役社長

坂田匠

NPO法人ファザーリング・ジャパン
理事

徳倉康之

ビジティア代表

藤村侯仁

PROFILE

厚生労働省 雇用環境・均等局
職業生活両立課


FQ JAPAN VOL.65(2022-23年冬号)より転載

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