男性育休の経済的不安を解決するには?経済学者がデータをもとに解説
2022/07/04
2020年には日本の男性の育休取得率が過去最高値を更新した。でも、世界と比較すればまだまだ低いのが現状だ。男性が育児へ参画することによって、どんなメリットがあるのだろうか? データから分析する。
世界の育休取得率からみえた
出生率との関係性
厚生労働省が発表したデータによると、2020年(令和2年)度での日本の男性の育児休業(育休)取得率は、12.7%となり過去最高値を更新しました。しかし、取得率そのものは、まだ低いのが現状です。例えば、北欧の国々では約7割のパパが育休を取得しています。日本は、男性の育休の取得が少しずつ広がり始めたタイミングです。育児参加にも良い影響があるといえるでしょう。
私の子供が生まれたのは、10年ほど前になります。当時暮らしていたカナダでは、平日でも公園にはたくさんのパパがいて、男性の育児参加は普通のことでした。一方、一時帰国をして日本の公園に行ってみると、公園にはパパが全く見当たらず、育児参加に男女分裂があることを痛感しました。日本では、社会の仕組みはもちろん、保護者に向けた連絡や、テレビや本などにおいても、いまだ育児の主役はママになりがちです。パパが育児に参加しようとしても、疎外感や違和感を抱く場面は多いかもしれません。
この男性の育児参加については、興味深いデータがあります。男性が子育てや家事に参加している国ほど、出生率が高いという数字が見えてきたのです。男性が子育てや家事に積極的に取り組むことは、ママ側の安心感につながり子供を持つという選択に至ると考えられます。
男性の育休取得率(2016年時点)
出所:OECD Family Database
コストは○○所得で考える?
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男性が育休を取らない理由のひとつとして経済面の不安が挙げられる。こうした影響を軽減するためには、ある考え方が大切になるそう。また、育休取得には、子供の学力への興味深い関係性が報告されているらしい。この続きは、ぜひ『FQJAPAN vol.63』で確認してみてほしい。
PROFILE
山口慎太郎
東京大学経済学研究科教授。専門は労慟市場を分析する「労慟経済学」 と、結婚・出産・子育てなどを経済学的手法で研究する「家族の経済学」。著書に『「家族の幸せ」の経済学』(光文社新書)『子育て支援の経済学』(日本評論社)など。1児の父。
文:鈴木有子
FQ JAPAN VOL.63(2022年夏号)より転載