必要なのは指示ではなくコミュニケーション。夫婦関係がうまくいく4つの心得とは
2022/08/25
夫婦仲を悪化させる要因は、「家事分担の割合」よりも「感謝しない」「ぞんざいな話し方・態度」にあった!? どうしたら夫婦間コミュニケーションを最適化できるのか、異性間コミュニケーション協会の講師で夫婦問題を専門とする渡辺佳奈さんにお話を伺った。
直して欲しいことはある?
妻の8割以上がYESと回答
「ママがもらって一番嬉しいもの。それはパパの『いつもありがとう』という言葉なんです」。
教えてくれたのは、異性間の違いをテーマに企業研修や個人向け講座を多数行っている異性間コミュニケーション協会トップ認定講師の渡辺さんだ。あるアンケート調査※によると、「配偶者に直してほしいことはあるか」の質問に対して、83.3%の女性が「ある」と回答。内容は、「話し方・態度がぞんざい」「感謝・お礼を言わない」「家事分担が少ない」という結果だった(下図参照)。
※国内在住の成人女性(n=1074人)に対するオレンジページによるアンケート
一方で、パパが求めているのは、渡辺さんによると「妻からの指示」。「家事も育児もやる気はあるのに、やったらダメ出しされた……と凹んでいるパパが実は非常に多いんです」。
とは言え、多くの人が仕事でも抱えるのが「指示命令を出さなくても自分の頭で考えて動けるようになってほしい」という悩み。どうしたら妻との関係を最適化できるのだろうか。
「大切なのは“指示”ではなく、“コミュニケーション”。『何か手伝うことはない?』と声がけし、ママも『オムツくらい換えてよ』といった攻撃的オーダーではなく、『オムツ替えはあなたのほうが上手だけど、今、手は空いている?』などのクッション言葉を入れます。相手の都合を配慮した思いやりある言葉で伝え合える夫婦であれば、お子さんはコミュ力を付け、自己肯定感を高めていけるのです」。これなら今日からすぐ実践できそうだ。
今日からはじめよう!
夫婦関係がうまくいく4つの心得
コンサルではなく
カウンセラーの立場になる
人間関係、夫婦関係の基本は、「対立」ではなく「対等」。人それぞれ考え方が違うから、相互理解を深め、より質の高い関係性が築ける。妻が求めているのは答えでもアドバイスでもなく「共感」。「うんわかるよ」と、話を聴くカウンセラー的な立ち位置で向き合おう。「夫はいつも私の理解者」という信頼を得られれば、妻は強力な応援者になる。
毎日30分でOK!
意識的に会話する習慣を
もしも洗濯しようと思ったら洗剤がない。そんな時、「洗剤ないよ」は×。「洗剤ないけど、どうする?」でギリギリセーフ。「洗剤ないけど、買ってこようか?」と問いかけるのが正解。良かれと気を利かせて買うと、「買い置きがあるのに!」と逆効果に。あと一歩、さらに一歩、会話を進めよう。意識的に夫婦の会話タイムを1日30分取るだけで関係は変わってくる。
タイプを把握して
共感と会話を心がける
伝統的な家族観に基づく、性別役割分業(男性らしさや女性らしさ)を「押し付ける」のは×。だが脳科学的に見れば、会話中、「わかります」を多用する人は共感の女性脳。解決より話し合いを求めるマルチタスク型。男性脳は「なるほど」が多く、論理的なスペック重視で成果をスピーディに求める一点集中型。ママのタイプを見極めて相づちを打とう。
命令形はNG!
声掛けのときはどうするか尋ねる
妻の相談に乗る時に有効な言葉がある。女性に有効なのは「わかる、わかる」「そうだね」という相づち(男性に対してはイライラする言葉かもしれない)。もしも妻が論理的なタイプなら、答えを自分自身で決めたい欲求が強く、「キミはどうしたい?」と質問する。意見を押し付けず、「これはあくまでも僕の考えなんだけどね」と前置きしよう。
あなたはどのタイプ?
動物診断で自分たちに合った
コミュニケーションを
円滑にコミュニケーションを実践するなら夫婦のタイプをしっかりと把握することが効果的だ。異性間コミュニケーション協会が提供する手軽な診断テストを活用して、パートナーがどんなタイプなのか知ることでもっと会話のコツを掴もう。
守ってあげたい甘えん坊うさぎちゃん
甘えん坊でのんびり屋さんに見えて、細やかな気配りも得意。
かわいい愛されパンダちゃん
コミュニケーション能力が高く、明るくて人に好かれやすい。
バランス感覚のいい器用なおさるさん
周囲に溶け込みやすく人間関係のトラブルを起こすことが少ない。
賢くて勇敢ないぬくん
決断と行動力がありサッパリしていてビジネスライク。
カリスマ性のある威厳のライオンくん
強いリーダーシップを発揮し、仕事が好きでいつも堂々としている。
教えてくれた人
一般社団法人 異性間コミュニケーション協会
トップ認定講師
渡辺佳菜さん
山梨県出身。8歳年上の夫と一児の娘の母。多感な思春期に両親の離婚を経験。夫婦関係が子供の健やかな発達に大きな影響を与える自らの体験を通じ、「人を愛することの素晴らしさ」」「人から愛されることの喜び」の重要性を知り、異性間コミュニケーション協会の講師資格を取得。延べ2000名のお母さんに夫婦コミュニケーションの大切さを伝えている。他、メディアでも広く活躍中。
文:脇谷美佳子
FQ JAPAN VOL.62(2022年春号)より転載