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育休の法改正で企業はどう動く? 人事担当者が答える今後の対応と課題とは

2022年4月に育児・介護休業法が改正されることが決まった。これに向けて企業はどのような対応を取るのか。企業の人事担当者へのアンケート結果から育休の置かれた状況と課題を読み取る。

育児・介護休業法の
改正で育休はどう変わる?

2022年4月に改正される育児・介護休業法のポイントは4つある。
●子供の出生後8週以内に4週間まで取得可能であること
●申し出は休業2週前までになったこと
●分割して2回の取得が可能であること
●労使合意の範囲内で休業中の就業が可能であること

また、企業側は従業員に対して、休業取得の意向確認が義務付けられる。さらに常時雇用する労働者数が1000人超の事業主に対しては、育児休業の取得の状況について公表が義務付けられる。

男性の育休取得を高めようという動きが年々強まっているが、実際の取得率はどれくらいなのだろうか。2010年度は2%以下だった育休の取得率は、2020年度には12.6%にまで達した。

一方で、育休の取得を希望しながら叶わなかった男性は37.5%に上ったという調査結果もある。まだまだ育休が普及しているとは言い難い状況だ。

男性育休推進支援サービスを提供しているセントワークス株式会社は、企業の人事担当者へアンケート調査を実施した。内容は「男性育休取得促進に向けた職場の課題と取り組みについて」だ。

企業が抱える
男性の育休取得の課題とは

アンケートではまず、男性育休に関する法改正対応について課題を尋ねた。結果、1位は「男性育休を取得しやすい雰囲気つくり(42.1%)」。2位以下は「管理職の理解(32.0%)」「男性育休取得者が出た際の人員配置(30.0%)」「男性育休取得者が出た際の業務のやりくり(28.3%)」と続いた。

1位、2位の回答に見られるように意識改革が課題であることがわかる。

次に「法改正には、“男性の育児休業を取りやすい職場環境の整備”が義務付けられていますが、どのような取り組みを予定していきますか?」という質問。

これには約5割が「管理職への研修」と回答。以下、「一般男性従業員への研修(41.6%)」「相談窓口の設置(32.4%)」と続き、課題である意識改革にも取り組もうとする姿勢がみられると評価できる。

「男性育休に関する各種研修の実施時期」も尋ねているが、約2割が実施済みであり、今年度中に実施予定も2割、来年度に実施予定が1割であった。

そして「勤務先における男性育休推進の目的」については、「男女問わず仕事も家庭も両立できる職場」と「従業員の定着」が同率1位で38.4%だった。企業にとって育休推進は法改正対応にとどまらず、人材戦略として重要なものとなっているのだ。

企業にとっての
育休取得のあり方

男性が育休を取得するためには、まだまだ越えなければならないハードルがたくさんある。それでも育休取得は着実に浸透し、世の中の意識も変わってきている。

今回の調査結果を見ても、いまや企業側にも子育てしやすい組織文化を作ることが有能な人材を確保するために必須となっていると言えるだろう。

今後も具体的な課題を1つ1つ見つけていくことで、社会全体が育休を取得しやすい空気が生まれていくはずだ。行政にも法改正にとどまらず継続的な子育て支援の充実を望みたい。

〈調査概要〉
・実施:2021年7月
・対象者:企業の人事担当者
・回答数:534
・回答者属性:男性 394(73.8%)、女性 140(26.2%)
・企業規模:従業員 50~300名未満 171(32.0%)、300~1,000名未満 114(21.3%)、1,000名以上 249(46.6%)




文:平井達也

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