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基礎知識

日本のイクメンブーム、すべての始まりは英国から

2000年頃、日本に先駆けてイクメンブームが巻き起こっていたイギリス。その後、少子化解消、働き方改革、女性の特殊出生率・就業率アップなど、様々な変化が起きている。日本は今、イギリスから何を学べるのか?

現役首相の育休取得が
UK流イクメンのルーツ?

イギリスはもともとイクメン大国ではなかった。むしろ“男性が外に働きに出て、女性が家を守るべき”という考えの方が多く根付いており、働く女性も少なかった。そんなイギリスに変化が起き始めたのは、2000年頃だ。

1つは働き方改革。当時のブレア政権は、「ワークライフバランスキャンペーン」を開始した。ワークライフバランス施策の導入を希望する企業には、1年間無料でコンサルタントを提供。448企業、120万人の従業員が影響を受け、「働くこと」に対する意識改革が起こり始めた。

さらに同年、ブレア首相は第4子誕生の際に公務を減らし、自ら育児のための休暇を取った。それについて国民からは称賛の声があがる一方「一国のトップが公務を休むなんて」と否定的な意見も多かった。しかし、このことをきっかけに国全体に、男性の育児参加そのものについての関心が高まり、意識改革が起こっていたことは言うまでもない。

男はカタチから入る生き物
「育児=カッコイイ」が浸透

当時、ロンドンでは「男の育児バイブル誌『FQ』」が創刊された。発行人のダミアンはこう振り返る。

「その頃、イギリスではパパの育児参入への期待が徐々に高まっていっていたんだ。『育児をママだけに任せっきりにするのはかっこ悪い』、『パパはもっと育児を楽しむべきだ』という風潮になっていた。母親の仕事復帰が前よりも早くなりつつあり、女性の賃金も高くなっていっていた。自宅で家事育児をする主夫もすでに増えつつあったよ」(ダミアン)。

育児に積極的な男性はカッコイイ、という社会の目の変化。そう、ちょうど〝イクメン〞という言葉が生まれた8年前の日本と同じような現象が、そのさらに8年前のイギリスでも起こっていたのだ。

「FQでは、育児が初めての新米パパやプレパパのためのアドバイスや豆知識を提供した。ママに頼りっぱなしにならないように。パパ目線で、育児に必要なものは何か考えるように。そして、育児の責任はママもパパも平等であることを知ってもらうために。ときにデビッド・ベッカムやジュード・ロウなど有名セレブパパの記事を取り上げることで男性たちの興味を惹きつけ、メッセージを送り続けた」。

英国イクメンブームから15年
出生率や仕事にも変化が現れた

その後、英国では様々な変化が起きた。

「ベビーカーもパパ向けのデザインが増え、育児関連の企業も広告でパパを起用するようになったり、育児に関する支援制度、男性の育児休業も増えました」。

さらに、女性の管理職は3割を超え、下降気味だった特殊出生率も、1.64ポイントから2016年までに1.83ポイントへと急上昇した。“英国イクメンブーム”から15年。男性の育児参加が、子育て世帯支援につながり、結果的に国全体の状況を良い方向に変化させた。

「子育ては世界で最も重要で、そして時には何よりも難しい仕事。しかし、早い段階でちゃんとした準備をしておけば、家族も含めて、その後のプレッシャーを削減することができる。パパの役割はとても大事で、ママは、常に助けを必要としている。世界のパパよ、どうかその素晴らしい働きを今後も続けてほしい」(ダミアン)。

日本では、特殊出生率が2005年に1.26ポイントまで落ち込んだが、10年後の2015年、1.41まで上昇し、徐々にではあるが回復傾向となっている。イギリスがそうであったように、イクメンブームをきっかけに、子育て環境や国の状況を、良い状況へ変化させることができるのか。子供たちの住む未来の国をいかに良くするか――。それは、今日の私たちの意識と行動にかかっているのだ。

イギリスの子育て常識

毎日の子供の送り迎えは必須!
小学校卒業までは日本のように子供だけで通学することは認められておらず、親は必ず子供を学校まで送り迎えをする。その約半数がパパだという。親が行けない場合はベビーシッターなどに頼むことも。

イギリスでは長期出産休業を父親が取得してもいい!
父親は本来持つ2週間の育児休業に加え、50週間の出産休暇を母親の代わりに取ることが法律上認められている。その50週間のうち、3~39週にかけては有給となる。

イギリスは出産費用がかからない!
NHS(国民保険サービス)を利用し出産する場合、医療費は国によってまかなわれるため、検診などす べての費用が無料となる。出産以外の他の医療もNHSであれば無料だ。

※FQ JAPAN VOL.41(2016-17年冬号)より転載

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