新作映画で吹き替えに挑戦! 佐藤二朗、小1息子との抱腹絶倒な日々
2018/10/16
多方面で活躍中の佐藤二朗さんが吹き替えを演じたのは、映画『ルイスと不思議の時計』に登場するジョナサンおじさん。10歳の主人公ルイスのおじさん役だ。ジョナサンおじさんは、かなりのお調子者のポンコツ魔法使い。小1の息子さんをもつ佐藤さんに、映画の見どころと子育てのヒントを聞いた。
世界20位に入賞レベル!?
佐藤さんの“ヘンテコ”個性
―― 映画『ルイスと不思議の時計』はどんな映画ですか?
「主人公のルイスは、交通事故で両親を亡くして深い悲しみを抱え、転校先の学校でも1人浮いた存在です。そして、僕が声を演じたジョナサンおじさんは、二流のポンコツ魔法使い。さらに隣に住むキレイで優しいツィマーマン婦人は、ある出来事をきっかけに魔法を封印してしまった魔女です」。
―― 登場人物がみんなそれぞれ、心に “闇” を抱えています。本作のテーマのひとつは喪失と悲劇。そういうダークさもありながら、興奮とピュアな喜びに満ちていますよね。
「一番の見どころは、そんな負の要素をもつ彼らが力を合わせて、圧倒的な力をもつ相手に果敢にも立ち向かっていくところではないでしょうか」。
―― しかも、登場人物それぞれがヘンテコリンな個性を持っていて、その個性を出すことがそれぞれの魔法の鍵になっています。彼らに「自分を表に出していいんだ!」と勇気づけられました。しかし、実際、圧倒的な存在に対し、立ち向かう勇気をもてるかどうか……。
「そういう僕なんて、これまでいろんなところで暴露してきましたが、右に出るものがいないくらいヘナチョコです。たぶん世界20位には入るんじゃないかあ(笑)」。
―― 世界で20位には入るほどの弱さとは?
「方向音痴だし、寒いのも暑いのもどっちも苦手だし、静電気もダメ。幽霊とかお化けはからっきしダメだし、高い所も足がすくんで行けません。遊園地のアトラクションはどれもこれも苦手ですから、行っても何をしていいやら(笑)。特にあのクルクル回るコーヒーカップ。あれは絶対ゼッタイ無理です」。
―― コーヒーカップから静電気まで、世の中にそれほどたくさん苦手なものがある人も珍しいですね。
「あっ、そうそう。あと僕がもっとも弱いのが、嫁です!(笑)」
思わず言葉を失った
小1息子の困った質問とは!?
―― 以前ツイッターでは、息子さんの話題がよく出ていましたね。
「はい。今は嫁との約束で、「小学生になったら息子をネタにしない」ということで合意がとれています」。
―― どうですか、最近の息子さんは?
「やっとギリギリ、一緒にキャッチボールができるようになりました。でも、イマドキの子ですから、放っておくとずっとゲームをしてしまいます。その対策として、嫁が『すごろく』を自作しました」。
―― 佐藤さんの奥さんが作ったスゴロク、興味深いですね。ぜひ一緒にやってみたいです。
親子でめちゃくちゃ楽しんで遊びますが、息子は負けると、とにかく手がつけられないくらい、激しく泣く、スネる、グズる。本当に困ったものです。
―― 泣きじゃくる息子さんを佐藤さんはパパとしてどのように諭すのですか?
「たとえばモノに当たったら、ちゃんと「それはいけないことだ」とピシャリと叱ります。ダメなことはダメなことですから。そして、しばらく泣きたいだけ泣き、スネねたいだけスネ、暴れたいだけ暴れたら、だいたいそのうち落ち着きます」。
―― 落ち着いたあとの対処法は?
「腕の中に引き寄せて、むんぎゅ〜〜〜ギュギュっと、ハグです」。
―― ハ、ハグ! いいですねー。
「ヒザに乗っけて、抱っこして、それから頬っぺたにチューです」。
―― おおー、チュ、チューですか。息子さんの反応は?
「チューしたあとは、ホッペを全力でぬぐっていますよ(笑)。今はさすがに小学生ですから外では抱っこはしませんが、家にいる時はよくハグハグしています。今しかできないことですからね」。
―― 最近、息子さんからすごく困った質問をされたそうですね。
「そうなんです。息子と会話している中で出た言葉なんですが、「ことしって、何?」と聞かれました。驚きましたねー。小学1年生にとって「今年」という概念は、全く理解できない世界なんですね。そういう私も、全くもって説明できませんでしたけど(笑)」。
息子には好きな道を見つけて
その道を本気で進んでほしい
―― 子育てのポリシーはありますか?
「僕が子供の頃に衝撃を受けたのは、たくさんの人で埋まったナゴヤ球場とプラネタリウム、修学旅行で見た奈良の大仏です。ものすごく大きいものとか、ものすごく美しいものとか、ものすごく高いものとか、「わあー」と衝撃を受けるような生の体験をなるべくたくさんさせたいなあと思っています」。
―― 息子さんには奥さんの良いところを受け継いで欲しいそうですが、奥さんの良いところは?
「心がしっかりときれいなところ。以前、美輪明宏さんがテレビで、偉い人とはどんな人でしょうか? と質問された時に答えた、「地位があるとか、お金があるとかじゃなく、心がやさしい人のこと」という言葉。それを見て、本当にそうだよなあ、そうだよなあと胸に響きました。もしかすると「心がやさしい」じゃなくて、もっと別の言葉だったかもしれませんが。息子にも、嫁のそういう心の美しさを受け継いでほしいです」。
―― 以前にツイッターで息子さん宛に書かれたメッセージが印象的でした。
「自分も好きなように生きてきましたから、息子にも自分の好きな道を見つけてその道を進んでほしいなあと思います。あっ、でも、もしも、もしも、役者になりたいと言ったら、体を張って全力で止めます。だって、大変な仕事ですから。それでも、本気でやりたいというのなら、頑張れ、と全力で応援します」。
とてつもなく苦しいこともあるけど、とてつもなく楽しいこともあって、要はとてつもなくオモロイことがお前の先に広がってるぞ、てなことを息子にちゃんと伝えられたらいいなと思ってる新米父ちゃんの日記的独り言。もちろん、酔ってる。
— 佐藤二朗 (@actor_satojiro) 2015年6月24日
―― ぜひ、子育て中のパパママへのメッセージをお願いします。
「パパになって約7年。偉そうなことは言えませんが、子育てというのはとてつもなく楽しいことですよね。息子がまだ小さい時は、お風呂とかオムツ替えとかいろんなことを嫁と共同作業でやっていましたが、もっともっといろいろなことを一緒にやっておけばよかったなあという反省もあります。ぜひ、今しかできないこの子育てというものを一緒に楽しんでいきましょう! という感じです」。
「機会の均等」なんて言葉があるが、完全にそれを実現するなんて、ほぼ諦めた方がいい。生まれながらに有利不利は、それなりには決している。でもそれがどうした。逆転は君の目の前に転がっている。ゴロゴロと。ただ頑張りは必要だ。だから、頑張れ。オジサンは今酔っている。
— 佐藤二朗 (@actor_satojiro) 2015年11月29日
―― 佐藤さん、今日は本当にありがとうございました。公開されたら、息子さんと『ルイスと不思議の時計』を一緒にご覧になるんですよね。
「そうですね。息子がどんな反応をするのか楽しみです」。
PROFILE
佐藤二朗 SATO JIRO
1969年、愛知県生まれ。’96年、演劇ユニット「ちからわざ」を旗揚げ、全公演で作・出演。近年、多数のドラマ・映画に出演。また、ドラマや映画の脚本執筆や監督も務めている。最近の出演作は、ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズや「過保護のカホコ」、映画『銀魂』など。金言満載のTwitterはフォロワー100万人以上! 小1の息子を持つ父親。
『ルイスと不思議の時計』
10月12日(金)全国ロードショー
両親を亡くした少年ルイスは、叔父であるジョナサンの古い屋敷に住むことになるが、なんと、おじさんは、二流のポンコツだが、不思議な力を使える魔法使いだった。そして、隣に住むきれいで優しいツィマーマンも魔女。ただし、こちらは一流。ルイスはそんな二人と時計がいっぱいの屋敷で不思議な暮らしを始める−。ある日、屋敷に世界を破滅へと導く“時計”が隠されていることを知ったルイス。果たして、二人の魔法使いと “時計”を探し出して謎を解き、世界を救うことができるのか!?
■出演:ジャック・ブラック、ケイト・ブランシェット、オーウェン・ヴァカーロ、カイル・マクラクラン 他
■出演(吹替版):佐藤二朗、高山みなみ、松本梨香、矢島晶子、本名陽子 他
■監督:イーライ・ロス
■提供:アンブリン・エンターテインメント
■原作:ジョン・ベレアーズ「ルイスと不思議の時計」(静山社)
■配給:東宝東和
公式HP:映画『ルイスと不思議の時計』公式サイト
©2018 UNIVERSAL STUDIOS AND STORYTELLER DISTRIBUTION CO.,LLC
Photo » NATSUKI MATSUO (OHKAWA NAOTO Photography.inc)
Text » MIKAKO WAKIYA