過酷すぎる産後の生活サイクル ~育休パパの証言~
2018/06/12
父親の育児参加が叫ばれて久しい昨今、ある男性が半年間の育休を取得した。職業はコピーライター。広告会社の電通に勤務する彼に、育休の経験談を語ってもらった。この企画は、ある1日のタイムテーブルをもとに制作した、育児の過酷さを余すところなく伝えるノンフィクションである。
はい、ここでいきなり結論!
育児は当たり前にはできない!
夫婦ですることでより絆が深まる
「細切れ睡眠や、娘の突然の要求に応えなければならない日常は、過酷の一言。そんな苛酷さのなか、2人一緒に同じ景色を見られたことで絆が強まった気がします。夫婦の共通言語ができたというか……それはまるで運動部の部活仲間のよう。部活でハードな練習に耐えた仲間って強い仲間意識が生まれ、後で『あのとき大変だったよなー』『そうそう!』って語れるじゃないですか。そんな感覚です。
あと、育児って想定外というか反射的な対応に追われてばかりで、例えば集中力が必要な読書なんかは、あんなに好きだったのに体質的にできなくなったりもしました」
はたしてどのような日々だったのか。生後1~3ヶ月のとある1日を追った。
育児という線だけで続く毎日は
想定外だらけで翻弄されっぱなし
[ 生後1~3ヶ月 ] memo
「1ヶ月間里帰りしていた妻が自宅に戻り、本格的な育児がスタート。ミルクと沐浴が僕の主な担当になりました。おっぱいを飲ませている間にミルクを用意。両親学級で習った沐浴テクをいざ実践。授乳が終わり、オムツを換えたりあやしたりするうちに次の授乳、という無限ループ。
抱っこ中に僕が座ると(なぜか)泣く娘を、立ったままあやし続け、細切れ睡眠に翻弄される毎日。率直な感想は「き、きつすぎる……」。まだおっぱいを飲むのが上手じゃない娘に、おっぱいが出ず乳腺を痛めることもあった妻。そんな2人を見守るしかない無力感にさいなまれることも」
授乳リズムが整うことで
外出が日課に。自由時間も確保
続いて、4~6ヶ月のタイムテーブルを見てみよう。
[ 生後4~6ヶ月 ] memo
「授乳時間が短くなり、回数が減り、間隔も空いてきたため、外出もできるように。生後3〜4ヶ月からは、保活を兼ねて近所の保育園まで散歩、そこから徐々に外出できる時間が増え、生後5ヶ月ぐらいにはランチやお買い物をするまでに。
また一緒にお風呂に入れるようになると、入浴が格段と楽になりました。気持ちよさそうにしていたり、笑いかけてくる娘がかわいくてたまらない。お風呂上がりのスキンケアも僕の役目。ワセリンをたっぷり塗り、かぶれや乾燥の対策もバッチリ! 夜中の授乳も1回程度になったため、ネットで映画や海外ドラマが見られる余裕が出てきました」
[男の育児アジェンダ]
育休のリアルまとめ。
○妻しかできないこと以外の育児を担う。
○育休中に読書や勉強など、休暇的なことは無理だった。
○授乳してお世話をしたら次の授乳、の無限ループ。
○生後1~3ヶ月は超ハード。細切れ睡眠上等!の心で。
○授乳リズムが整うと、外出できて気分転換に。
○睡眠時間がまとまると、自由時間をわずかに確保。
○過酷な日々を共有する夫婦は、まるで部活仲間。
いかがだっただろうか。出産直後の子育ての大変さに驚いた人も多いのではないだろうか。
現在の日本では、男性の育休取得はいまだにハードルが高い。育休を取得したくてもできない、という男性も多いはずだ。ゆえに今回の記事を読んで、育児中のママがいかにハードな毎日を送っているかを知るだけでも、充分な意義がある。
そうだ、今日は仕事帰りに、妻にケーキでも買って帰ろう!
【育休リアル語り人】プロフィール
魚返洋平さん
東京生まれ。大学卒業後、広告会社の電通に入社。以来コピーライターとして勤務。長女誕生後、半年間育児休業を取得。(妻は1年間の育休)。ウェブ電通報にてコラム「男コピーライター、育休をとる。」を連載している。
Text » RIE SUGITA
FQ JAPAN DIGEST VOL.45より転載