自然は最高の教師! 育児のヒントは「ソト」にある
2018/05/29
「ソト」で育てる……気持ちがいいだけじゃないちゃんとした理由が、確かにそこにはある! このままアウトドアシーズンに突入する前に「ソト」にまつわる"これからの育児"のヒントを、考えてみる。
森身近な自然の中にある
「センス・オブ・ワンダー」
子供たちにとって、自然は最高の教師だ。彼らが学ばなければいけないことのほとんどは自然の中から学び取ることができる。夏だ、外に出かけよう!
世界遺産の原生林まで出かけたり、4WDでワイルドに野山を駆け巡ったりするのもいいだろう。しかし、気を付けてほしいことがある。自然の中から学び取るとは、自然を外から眺めるということではない。
大自然に「お出かけ」しているだけでは、あくまでもビジターとして自然を外から眺めることでしかないのだ。見たこともない大自然を眺めていれば、そりゃ驚くし、感動もするだろう。
でもそれは自然に驚き感動しているのではない。未知なるものに対する驚きや感動である。食べたことのないものを食べたとき、見たこともないテクノロジーを見たとき、そういうときに味わう驚きや感動と同質のものだ。
子供の「なんでだろう?」は
すぐそこに隠れている
自然から得られる気付きとは、本来もっと身近なところにある。普段当たり前だと思っていることの中にこそ、本当の意味で「なんでだろう?」「不思議!」と感じる感覚すなわち「センス・オブ・ワンダー」が隠れている。わざわざ遠出をする必要はないのだ。
都会には自然がないと言う人もあるけれど、それを言っている時点で残念。そういう人は自然を感じるアンテナの感度が低くなってしまっているに違いない。「弱い酒では酔えない! もっと強い酒を持ってこい!」みたいな感じ。
子供たちが自然を感じるアンテナは鋭い。それを大事にしてやればいい。家の近所にある小さな公園に連れて行くだけで、たくさんの「なんでだろう?」や「不思議!」を発見してくれる。「ねぇ、パパ、この花はなんて言うの?」と指さす先にあるのは名もない雑草。「ダンゴムシは何を食べているの?」などという素朴な疑問も浮かんでくる。これらの質問にどれだけ答えることができるだろうか。
近所の公園の小さな自然の中ですら、僕たちの知らないことばかりなのだ。公園は大自然なのだ。
世界遺産の原生林に生えるブナの木も、公園にあるブナの木も、近寄って、触れて、臭いを嗅いでみれば同じブナの木だ。天然記念物の蝶も、モンシロチョウも、子供たちから見れば同じ蝶。ハサミムシやダンゴムシだって、虫眼鏡で覗いてみれば、かなりのエイリアンぶりである。
都会の真ん中でさえ、初夏にはツバメが軒下に巣を構え、アゲハチョウがひらひらと舞う。夕刻になればコウモリがせわしなく食事をするのを見ることができる。
それなのに普段僕らは「都会には自然がない」と思い込み、自然を感じるアンテナをオフにしてしまっている。その構図はまるで、「自分は不幸だ」と思い込み、身近にある幸せ気付けないでいるのに似ている。
身近な自然を感じる感性が親になければ、子供もじきにそうなる。それでは子供も自然から学ぶことができなくなる。自然から切り離された存在になってしまう。それでは「生きる力」は育たない。
子供にとって大切なのは、大自然に触れることではなく、身近な環境の中に自然を見つけること。身近な自然の中に「センス・オブ・ワンダー」を見つけること。「センス・オブ・ワンダー」は子供の「生きる力」に火を付ける。