男性育休取得率で大注目!広島の子育てがアツい理由
2016/08/11
全国初の育休取得知事として脚光を浴び、さまざまな施策で広島県の子育て環境整備や働き方改革に努めてきた広島県・湯﨑英彦知事。笑顔が素敵なイクメン知事に、広島県の子育てに関する最新動向を伺った。
トップが変われば社会も変わる
転機は知事の育休取得
2010年、第3子の誕生を機に、計11日間の育児休暇を取得した湯﨑知事。都道府県知事の育休取得には前例がなく、当時は賛否両論があった。しかし、「トップが変わらなければ社会は変わらない」と取得を決断。
その結果、広島県の男性の育児参画に対する意識に予想以上に大きな変化があった。
「以前は、広島県の男性の育休取得率は、全国平均以下でした。それが、2011年度には4.6%、2013年度には7.2%まで上がり、2015年度も5.1%と全国平均以上の水準を維持しています。また、男性の育児時間も増え、休日に公園へ行くと、子連れのお父さんたちをたくさん見かけるようになりました。まさに、父親の“意識”が変わってきたことを体感しています」。
男性の育児参画を支えるのは、トップである湯﨑知事が先頭に立って進める企業支援策の存在も大きい。広島県では「いきいきパパの育休奨励」して、男性従業員が1週間以上育休を取得した中小企業等に奨励金を支給している。
また、県内の企業経営者らが「イクボス同盟ひろしま」を結成し、男女ともに働きやすい職場づくりにも取り組んでいる。そして、県警本部長や海上自衛隊の呉地方総監もイクボス宣言をしていることにも注目。いわゆる仕事と家庭の両立が難しいイメージのある職場でも、働き方改革や上層部の意識改革が進んでいるのだ。
「男性の育児参画を後押しするためには、働き方の改革が不可欠です。子育て中の人はもちろん、親の介護を担う人や、ライフをエンジョイしたい人にとっても、働きやすい環境を整えるためには、やはり、“イクボス”の存在は不可欠。組織のトップや中間管理職が、社員1人ひとりの状況を把握して理解し、支援することが必要なのです」。
出会いから仕事との両立まで
県を挙げてトータルサポート
広島県では、これまで、様々な子育て支援に取り組んできている。子育て家庭が出かけやすい環境整備は、大きな柱のひとつ。
「広島に戻ってきた当時、スロープがなかったり、トイレが和式だったりして、ベビーカーでの移動や子連れでの外出に非常に不便を感じた」という湯﨑知事。実体験から、街や施設のバリアフリー化に着手。県内3200ヶ所超で、子育て対応型トイレや、段差解消のスロープ等の設置を進めた。また、子連れに嬉しいサービスや設備が整う「子育て応援イクちゃんサービス」を実施・推進する企業や施設は、そごう広島店をはじめ6200店舗に達した。
さらに、保育・預かりサービスの拡充など、ソフト・ハードの両面で子育て支援を拡充してきた。2015年度からは「ひろしまファミリー夢プラン」が始動。少子化対策の一環として、若者の出会い・結婚から妊娠・出産、子育て、仕事と家庭の両立まで、トータルサポートをしている。
「広島は、文化・教育が盛んな都市であり、少し行けば山も海もあり自然を体験することができる、子育てには絶好の立地です。それに加えて、子育てがしやすく働きやすい環境が整い、夫婦で安心して仕事も育児も楽しめる、そんな魅力ある街を、これからも目指していきたいと思います」
広島県知事
湯﨑英彦
1965年広島市生まれ。東京大学法学部を卒業後、通産省(現・経済産業省)に入省。2000年に退官し、ネットベンチャー企業を創業。2008年3月に代表を退任し、2009年11月に広島県知事に就任。中学生の長男、小学生の長女、幼稚園の次男の父親。
Photo » ITSUKO SODA
Text » FUKA SASAHARA
FQ JAPAN VOL.39(2016年夏号)より転載