パパの働き方講座#01 まずは周りの理解を得るべき!
2015/10/12
社内の雰囲気、ひいては上司の理解度次第で、育児の環境が変わる。ファザーリング・ジャパン代表 安藤哲也氏が「イクボス」を語る!
STEP1 まずは、周りの理解を得るべき!
上司の意識が変われば育児環境も改善
まずは考えを改めることから
上司の意識改革で
日本の社会が救われる!?
優秀なイクメンを育成するためには、「イクボス」の存在が不可欠であると私は考えています。育児支援が充実しているスウェーデンでは、2005年時点で会社を経営する役員の9割が育休取得者だったそうです。日本が大きく立ち遅れている理由を探すヒントが、ここにあるのではないでしょうか。
改めて「イクボス」の定義を紹介すると、「職場で共に働く部下・スタッフのワークライフバランス(WLB)を考え、一方で自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司」のことを言います。イクメン部下の状況を正しく把握し、状況に応じてフォローができる上司がいれば、職場の環境は大きく変わるのです。
しかし現状、「イクボス」が少ないことが原因なのか、「隠れ育休」という新たな社会問題が生じています。
隠れ育休とは、育児を目的に「有給休暇」を取得することをいいます。つまり、上司に「育休」と言わずに有休を消費している人が多いということです。ファザーリング・ジャパンの調査によると、乳幼児を持つ父親で、「隠れ育休」を取得している割合は46%でした。育休取得を望んでいても、『育休どころか、有休すら取りづらい』という声が多数上がる中、男性の育児休業取得促進の鍵は、やはり上司の「イクボス化」にあると思います。そのためにも、まずはボスが持つ「父親の育児」に対する考え方を改めさせる必要があるでしょう。
男性が育児する時間を確保することで得られるメリットは、「父親としての強い自覚が生まれる」「子供への深い愛着が形成される」「子供が生まれた後の妻とのパートナーシップの再構築」「家庭内の役割の硬直化の防止」など、数多くあります。日本にイクボスが増えれば、社会は変わるでしょう!
厚生労働省に聞いた!
男性の育児休業取得が進まない理由として、「取得しにくい職場の雰囲気」が挙げられます。制度が整備されていても、取得できなければ意味がありません。現場の管理職がイクボスになり、職場の雰囲気が変わることで、育児休業の取得が進むことを期待しています。また、厚生労働省では「イクボスアワード」に加え、男性の育児休業等の取得促進を行う事業主への助成を現在、来年度に向けて検討しています。
厚生労働省 雇用均等・児童家庭局
職業家庭両立課長
蒔苗浩司 氏
Text » MIKAKO HIROSE
(2015.10.12)
FQ JAPAN VOL.36(2015年秋号)より転載