WLBコミュニケーション術② あなた× ボス
2015/09/21
仕事への取り組み方を変えて「部下力」を上げて、家庭も仕事も充実させよう。NPO法人ファザーリング・ジャパン代表の安藤哲也氏がアドバイス。
[取材協力]NPO法人 ファザーリング・ジャパン 代表 安藤哲也 氏
イクボス育成に本気で取り組む企業が増加中!
“イクメン”が広く浸透し、最近では“イクボス”もメディアに取り上げられることが増え、認知度が上がってきています。
イクボスとは、育児や介護などで制約のある社員を含め、部下が気持ちよく働き成果を上げるための環境づくりやチームマネジメントができる上司のこと。部下のプライベート事情を過度に配慮して、特別扱いすることではありません。行き過ぎた配慮は、部下の仕事へのモチベーションを下げてしまいます。
働き方改革の基本は、上司も部下もしっかりと成果を出すことです。そこを勘違いしてしまうと、長時間労働や社員のワークライフバランスの改善は実現しません。
自分の上司にイクボスになってほしいと願うのであれば、まずは自分の働き方や仕事への取り組み方を変え、実績を上げましょう。そして、論より証拠と、上司に働きかけるのです。自分のワークライフバランスの乱れを上司のせいにばかりせず、自身の“部下力”を上げることも重要なのです。
とはいえ、個人の力には限界があり、今後は企業が組織としてイクボスの育成に取り組む必要があります。昨年末に立ち上げた「イクボス企業同盟」には、現在20社が加盟し(2015年5月時点)、イクボスの育成講座や好事例の共有など、活発に活動しています。このような企業・団体が増えることで、日本は少しずつ変わっていくでしょう。
今はまさに変革期であり、上司の立場の人にとっても試行錯誤の連続です。
企業が組織としてより強くなるためには、働き方の改革や社員のダイバーシティ化の推進、さらに、社員の家庭やプライベートの事情まで含めたマネジメント力が求められます。
イクボスの育成を企業経営の大きな観点でとらえていくことが、経営者にも求められているのです。
1. 会社の共有スケジューラーには個人的な予定まで書き込む
子供のお迎え時間や学校行事など、個人的な予定も書き込み、チームのメンバーや上司と共有。お互いの予定を把握することで、プライベートへの理解が生まれるだけでなく、業務のスケジュールも立てやすくなる。
2. 家族との時間を大切にし、家庭の安定に努める
家族と充実した時間を過ごし、家庭が安定していることは、メンタル面でも重要。しかも、それだけでなく気持ちにメリハリがつくことで、仕事にも集中できる。
3. 上司(部下)や同僚と信頼関係を構築する
面談ではお互いのプライベートの話もすることで、何でも話せる信頼関係をつくる。お互いへの理解があるからこそ、チーム力が向上し、仕事の効率も上がる。
(2015.9.21up)
FQ JAPAN VOL.35(2015年夏号)より転載