男性の育児参加を推進する
イクメンプロジェクトの最新動向
2015/01/12
2015年春から施行される「子ども・子育て支援新制度」に伴い、地域の子育て支援サービスの変更点、そして父親の仕事と生活における意識改革の最新動向に関して、厚生労働省の蒔苗氏から話を伺った。
「イクメン推進シンポジウム」開催にみる厚生労働省の企業・個人のイクメン応援の最新動向を、厚生労働省の蒔苗氏に伺った。
企業の規模にかかわらず
やり方次第で変われる
2014年10月17日、厚生労働省が進める「イクメンプロジェクト」の一環として、「イクメン推進シンポジウム」が開催され、企業人事担当、メディアなど約160名が来場した。シンポジウムでは、「イクメン企業アワード2014」と「イクボスアワード2014」の表彰式、「イクメンスピーチ甲子園2014」の決勝及び表彰式が行われ、最後に、「あなたの会社にイクボスはいますか? 〜今求められる上司とは〜」をテーマに、パネルディスカッションが行われた。
「イクメン企業アワード2014」は、働きながら安心して子供を産み育てることができる労働環境の整備を推進し、男性従業員が育児と仕事を両立させるための取り組みに積極的な企業・団体を評価し、表彰するというもの。昨年度は、43社の応募があった。そしてグランプリに選ばれたのは、岐阜県の建設業者、アース・クリエイト有限会社だ。受賞理由について厚生労働省 雇用均等・児童家庭局の蒔苗氏は、「働き方改善の取り組みが進みにくい業界であり、中小企業であるにも関わらず、仕事と育児の両立支援の取り組みが浸透していることが高く評価されました」と述べる。アース・クリエイトの事例は、この業界だから難しい、中小企業だからできない、ではなく、やり方次第で変われるのだということを世に示した。
その他、昭和電工株式会社など6社が特別奨励賞を受賞。この6社のうち2社は、生命保険会社だった。2013年も2社の生命保険会社が特別奨励賞を受賞している。
「同業他社との差別化のため、業界内である意味、競争が起こるのは、良いことだと思います。近年は、就活生の間でもワーク・ライフ・バランスへの関心が高まっていると感じます。若い労働力人口が減少する今後は、企業も労務管理や働き方の改善をどんどんしていかなければ、優れた人材を採れない時代になることが予想されます」(蒔苗氏)。
また、昨年度より新たに設けられた「イクボスアワード2014」には、50名の応募があり、グランプリには株式会社セプテーニの金原高明氏、株式会社ルミネの橋本範文氏の2名が選ばれた。男性の育児・家事参加を推進するためには、本人たちの意識を高めることはもちろんだが、職場の環境、特に上司の意識改革が重要だ。「トップや管理職の判断で働き方は大きく変わります。例えば、勤務状況を時間ではなく成果で評価するような人事評価制度の検討も重要です。イクボスアワードを受賞された管理職の方々には、社内でのイクボス育成はもちろん、同業界内など社を超えてイクボスの普及に努めていただくことを期待しています」(蒔苗氏)。
続く「イクメンスピーチ甲子園2014」では、60名の応募者の中から決勝に進出した3名が、熱いスピーチを披露。育児と仕事の両立を図るための工夫があること(両立性)、大変さ、喜びなど、広く共感できること(共感性)、一過性ではなく、継続実施可能なこと(継続性)の3点を基準に審査され、自身の育児体験がいかに仕事に活かされたかを語った結果、スクリーンでのプレゼン資料を活用し、わかりやすいスピーチを心がけた石黒卓弥さんが、優勝を勝ち取った。
「重要なのは、イクメン企業やイクボスの事例から、みなさんに具体的なノウハウを学び取っていただけるよう、情報を発信していくことだと考えています。そして、シンポジウムなどのイベントに留まらず、イクメンプロジェクトの活動を継続的に行い、周知に努めたいと思っています」(蒔苗氏)
厚生労働省 雇用均等・児童家庭局 職業家庭両立課長
◆両立支援のひろば www.ryouritsu.jp/
◆全国のくるみん認定企業 www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/kijuntekigou/
◆Twitter公式アカウント ikumen_project
Text >> FUKA SASAHARA
※FQ JAPAN vol.33(2014年冬号)より転載
(2015.01.12up)