子供のケガ応急処置マニュアル
2014/07/17
ハイハイができるようになったり、歩けるようになると、子供はあちこち動きまわり、ケガをする確率がグンと上がる。 予防はもちろん、対処法を覚えて、我が好の身を守るべし!
自分の観察眼を信じる!
それで事故は減らせる
「社会は進化している。その反面、危険を察知する人間の能力は衰えてきてしまっている」。
ぞうさん先生のニックネームで子供たちに親しまれている鈴木こどもクリニック院長・鈴木洋(すずき よう)先生は言う。
「大切なのは、次の3つのステップ。それを親がどう意識するか。意識することが非常に重要です。そのステップとは、まず予防。次にケガした時の対処法。そして適切な処置です。親は子供がケガをした時に動揺してパニックになりがち。でも、それはしょうがないことなんです。だから、正しい知識を身につけることが大切です」。
正しい対処と処置がなされれば、事故を防ぐ、傷が残らない、発達的成長に影響を与えないといったことから、極端な話、心肺停止といった危機的状況でも、親自らが子供を蘇生することだってできる。
「外には楽しみがたくさんある。子供にとって、それらすべてがアドベンチャーです。だからその楽しみを排除するのではなく、危険を予測し察知すればいい。そのために必要なのが、あらゆる視点で物事を観察する力です」。
ブランコ、ジャングルジムなど公園の遊具もたくさんの危険が潜んでいる。対象物を知るだけではなく、我が子にどこまでのことができるかの成長度も理解しておく必要がある。
「ちょっとしたケガなら、教育的な意味で子供にとっていい経験。だから家庭内では尖っているもの、コードなど、できるかぎり危険なものを排除し、不慮の事故を予防したいものです」。
20歳未満の死亡の第1位が不慮の事故。0歳児の死亡原因の約8割が不慮の窒息だ。転倒・転落・誤飲・やけど・溺水・窒息が大半を締める。ピーナッツでも窒息の原因に充分なりうる。母子手帳には「誤飲チェッカー」が載っているので、飲み込むと危険な大きさのものは確認しておきたい。
「救急車を呼ぶのをためらうのはよくわかります。救急にむやみに駆け込んで、本当に処置が必要な子供への治療が遅れるのでは、という迷いもわかります。しかし、気にする必要はありません。そのためらいがあること自体、充分良識的な親であるということ。自分の感覚を信じ、様子が違うと感じたら、ためらわず近くの小児科などに駆け込んでください」。
【監修】
鈴木洋(すずき よう)
信州大学医学部卒業。東大病院、愛育病院勤務を経て、90年に「鈴木こどもクリニック」を開業。著書に「ぞうさん先生の子育てトーク」(毎日新聞社)、「初めての育児0〜3歳」(西東社)など多数。