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インタビュー

家族に愛される父親になる!鈴木おさむさんが語る「ワーク・ライフ・ミックスのススメ」

鈴木おさむさんをお迎えし、横浜市のニュースパーク(日本新聞博物館)でトークイベントを開催。1 年間の育児休業中のエピソードや、仕事と子育てを両立する工夫をお聞きした。聞き手は、父親向けライフシフト情報誌「FQ JAPAN」の林憂平編集長。

 

 

<目次>
1. 妻のアシスト役に徹した育休期間ミッションは妻を早く職場に戻すこと
2. 父子2人の時間重ねて育児の自信と妻の信頼得る
3. 仕事も子育ても全部”自分の人生“育児の悩み、夫婦で抱え込まないで
4. 友人のアドバイスが勉強嫌い克服のきっかけ
5. 鈴木さんが考える新聞が最強な理由
6. 入念な取材に基づく新聞の情報は”背骨“

 

妻のアシスト役に徹した育休期間
ミッションは妻を早く職場に戻すこと


――鈴木さんは、お子さんが誕生した2015年から1年間、育児休業を取られました。多忙な中で育休を取ることに迷いはありませんでしたか?

僕の妻は妊娠前、“妊活休業”すると公表し、出産前後に1年8か月間、仕事を休みました。妻が“妊活休業”を宣言したのは、「妊活のために休む」という考えがもっと世間で広まってほしい、という考えがあったからです。
 
その後、僕らは子どもを授かったわけですが、妻のお腹がだんだん大きくなっていくのを見るうちに「夫として、世間に発信すべきことがあるんじゃないか?」という思いが膨らんできました。
 
そこで頭に浮かんだのが「父親として育休を取る」という選択でした。自分が育休を取ってそれを世間に発信すれば、もっと男性が育休を取りやすくなるんじゃないかと思い、子どもが生まれてから1年間、ほとんどの仕事を休むことにしました。というのも、周りの人と妊活や育児について何気なく話すうち、実は男性の方が不妊治療や育休といった話題は口にしづらいんじゃないか、と気がついたんです。

――育休を取ってみてどうでしたか?当時の話を教えてください。

育休期間が始まって1か月が経った頃ですかね。「あれ?意外と僕の出番がないぞ」と思ったんです。子どもが生まれてからお義母さんがうちに来て、子どもの世話をしてくれていて。お義母さんは育児の経験があるから手際がよく、妻にもどんどんやり方を教えていく。そんな状況を見て「お義母さんが帰った後、自分はあまり役に立てないかも」と思い、自分なりに考えた末に「まずは妻のフォローに徹しよう」と決めました。
 
どの家庭も、お母さんはわが子を優先するあまり、自分のことはおろそかにしがちです。妻は自分の食事をふりかけご飯だけで済ませてしまうとか。だから僕は、子どもの世話で忙しい妻が栄養のあるごはんを食べられるよう料理を始めようと考えたんです。それからは煮物とか魚料理とか、栄養があってちょっと手が込んだ料理を毎日調べながら作っていましたね。

父子2人の時間重ねて
育児の自信と妻の信頼得る

お母さんにしてみれば、生まれたばかりの子どもに手を触れられるのは、たとえ夫だとしても嫌な時もあると思うんです。だからまずは妻のフォローに徹したわけですが、今から考えてもこれはすごくよかったですね。
 
妻のフォローをし始めて3か月くらい経った頃、あらためて、夫として妻のために何ができるか考えてみたんです。たどり着いたのが「妻をなるべく早く職場に戻すのが、今自分がやるべきことなんじゃないか」ということでした。
 
というのも、いつまで続くかわからない妊活休業を受け入れ、妻を待ってくれている人がたくさんいたからです。待っている人たちの気持ちに応えるためにも、なるべく早く妻を仕事に復帰させることが夫としての役割だと思ったんですね。妻と話し合って「産後半年が経ったら、レギュラー番組に戻ろう」ということになりました。
 
産後半年のタイミングで妻はレギュラー番組に復帰し、まずは週2回くらいのペースで仕事に行くようになりました。もちろん妻がいない間は、僕と息子が家で二人きりで過ごすわけです。家を留守にする時間は5時間程度でしたが、妻は最初すごく不安だったみたいです。生後半年の子どもを夫に任せることはすごく怖いんでしょうね。
 
だけど留守の間、息子と二人きりで過ごす経験を重ねていくと、妻がだんだん信頼してくれるようになるんです。家で過ごすだけでなく、息子と散歩や買い物にも出かけました。二人でできることが増えるにつれて、僕も自信がつきましたし、生活の中に楽しみが増えていきました。そんなふうに少しずつ息子と二人きりの時間を増やすうちに、息子との信頼関係も深まっていきましたね。

▶ 会場のパパから質問!
Q. 頑張って育児しているのに、妻には「全然足りない」と言われてしまいます。
A. 自分自身が楽しんで育児することで、奥さんが抱く印象が変わると思います。例えば、子どもと二人きりで映画を見に行ってみるとか旅行してみるとか、普段やっていないことに挑戦するといいのでは。すると自分自身、育児が楽しくなってきますし、奥さんは自由な時間ができるので、感謝の気持ちも生まれると思いますよ。

 

仕事も子育ても全部”自分の人生“
育児の悩み、夫婦で抱え込まないで


――鈴木さんはどのようにして仕事と家庭を両立されていますか?

仕事と子育て、家庭のすべてが一つになって、自分の人生として進んでいる感覚があります。よくオンオフの切り替えのコツについて聞かれるんですけど、僕の中ではオンオフの感覚ってないんですよね。仕事とプライベートを分けようとすると、逆にストレスを感じるんです。
 
だからある時から、仕事とプライベートの予定は、全部同じカレンダーで管理するようにしています。そうすると、自分が家事や子育てにどれくらいコミットしているかが可視化できるから、バランスが取りやすくなるんです。例えば「今週は仕事や会食の予定ばかりで、家事や子どもとの時間が少ないな」と思ったら、率先して買い出しや子どもの送り迎えに行くようにするとか。家事や子どもへのコミットが少ないと、カレンダーに説教されているような気分になります。すべての予定を一つのカレンダーに書き込むのは、とてもオススメですよ。

友人のアドバイスが
勉強嫌い克服のきっかけ

――お子さんの教育に関して、心がけていることがあれば、教えてください

僕も妻も、小学生の息子に中学受験や習い事をさせたいとの考えは持っていません。息子にはとにかく早く、興味がある物や好きな事を見つけてほしいと思っています。だから息子の興味を引き出せるよう、旅行や映画館に連れて行ったり、ユーチューブで彼が普段は見ないような動画を見せたりしていますね。
 
ただ息子の勉強嫌いに関しては、ちょっと悩んだ時期もあります。親として同年代の他の子と比べてしまうこともありました。そんな時に友人に相談すると、おすすめの塾を教えてくれました。そこに通うようになって、息子も勉強に対して前向きになってきました。
 
成長のスピードは人それぞれ。子育ての不安は、周りの人に相談するのも手です。夫婦だけで抱え込まないのも大事だと思いますね。

▶ 会場のママから質問!
Q. 現在、育休中です。子育て期のキャリアチェンジについて、どうお考えですか?
A. 自分がワクワクすることとかやってみたいことを見つけたなら、思いきりコースチェンジしてもいいのでは。「好きこそ物の上手なれ」という言葉があるように、自分がワクワクすることにチャレンジすれば、成功がついてくるものだと思います。どうすれば2、3年後に自分がワクワクしていられるか、一度立ち止まって考えてみてもいいタイミングでは。

 

鈴木さんが考える
新聞が最強な理由

――子育ても仕事も、質の高い情報に触れることが大事だと思います。日頃の情報収集で意識されていることはありますか?

ネットニュースって手軽に読めてすごく便利なんだけど、ふと気がつくと、読むニュースを自分で選んでしまってますよね。だからインプットする情報に、すごく偏りができてくる。しかも、大事なニュースと信ぴょう性に欠けるニュースが横並びで扱われていることも多い。大事な情報とそうでない情報の見分けがつかなくなって、全部信じ込むことにもつながるので、これはめちゃくちゃ怖いなと思ってます。

入念な取材に基づく
新聞の情報は”背骨“

僕は新聞がすごく好きだし最強だと思っています。それは新聞が入念な取材に基づいた “背骨”になるような情報を届けてくれるから。新聞の1面にはその日知っておくべき重要なニュースが大きな見出しで載っているので、“これは特に大事な情報なんだ”と、ひと目見た瞬間にわかります。
 
あと新聞を見てると、自分がインプットしようと思っていなかった情報も頭に入ってくるんですよ。目に入ってくるから思わず読んでしまう、自分が選ばないはずの情報を頭に入れるのは大切な習慣だと思うんです。だから、「まずは新聞に載っている情報を頭に入れなさい」と言いたいですね。そのうえで、世の中にはいろんな情報があり、インプットする情報は取捨選択する必要があると教えるべきだと思っています。

――子どもに新聞を読ませるのは難しいような気もします。何か良い方法はありますか?

子どもに新聞を読ませるには、少し工夫が必要だと思います。まずは親が新聞を読み、子どもに伝えたい記事や面白いと思った記事があったら、それをかみ砕いて話してみてはどうでしょうか。
 
慣れてきたら子どもが興味を持ちそうな記事を選んで「このコーナー面白いよ」と教えてあげるのもいいと思います。自分の好きなコーナーを読むようになれば、子どもはどんどん新聞にハマって、他の記事も読むようになるはずです。すると文字を読むくせもついてくる。子どもに文字の読み方や情報との付き合い方を教えるのに、新聞はきっと役立つと思いますよ。

▶ Q&A なんで新聞は信頼できるの?
A. 記者が現場で見聞きしているから
新聞記者はとことん現場主義。事件や事故が起きたら、すぐに現場に駆けつけ、目と耳と手をフルに使ってインプットします。また、記者は日々、キーパーソンのもとに足を運んで情報をキャッチします。1本の記事を書くために、当事者や関係者、専門家らたくさんの人に直接話を聞くこともあります。
 
A. 何人もの目で事実確認しているから
記者が書いた原稿は、複数の人が厳しくチェックします。経験豊富な先輩記者や言葉のプロである校閲記者が、原稿に誤りはないか、一方的な主張だけを扱っていないかを必ず確認します。裏付けの取れた確かな情報だけを皆さんに届けています。

 

 

 

PROFILE

鈴木 おさむ

1972年生まれ。19歳の時に放送作家になり、その後数々の人気番組を手掛ける。2024 年に放送作家業を引退し、若い起業家をサポートするTo C向けファンド「スタートアップファクトリー」を設立。プライベートでは02年にお笑いトリオ「森三中」の大島美幸さんと結婚し、15 年に長男をもうけた。「2024 年ベスト・ファーザー イエローリボン賞」受賞。

問い合わせ

一般社団法人 日本新聞協会 企画開発担当
メール:kikaku@pressnet.or.jp TEL:03-3591-4637


写真/松尾夏樹
文/緒方 佳子

Sponsored by 一般社団法人 日本新聞協会

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