家族の“幸福度”を高めるスキルとは? ウェルビーイングのカギはパパの育児参加
2022/08/26
コロナ禍でこれまでの価値観が大きく揺らいだ昨今、毎日のように顔を突き合わせる家族との人間関係をどのように捉えて過ごしていくのか。ウェルビーイングと家族の関係について、コミュニティマネジメント専門の板倉先生に伺った。
家族の幸せ度を高める
パパの子育て参加!
家族にとってのウェルビーイングとは、自分自身はもちろん、一緒にいるママや子供が幸せでいられるかどうか。仕事に家事に育児に……ハードな日々の生活の中で、自分本位にならず少しでも目の前の人の笑顔を想像し、お互いの幸せにつながる選択をする。それこそが家族の幸せ度を高めるウェルビーイングなあり方だ。
「コミュニケーションの足りてない家族は増えています。まずは常日頃からどんなふうに感じているのかを伝え、相手のことを尊重してみてはいかがでしょうか」と坂倉先生。
そのためには、自分を良い状態にしてくれる要素は“これ!”というものを知っておくと良い。自分の魅力を知ることで、自信が生まれ、他者を思い合えるようになるからである。
「経済的に支えるのは男の役割なんて時代はもうすでに過去のもの。ママと協力しながら、パパが積極的に家事や子育てもしっかり担えばママの幸せ度も上がります」。
無理しすぎず、自分の気持ちにも相手の気持ちにもしっかりと耳を傾けて「共感」すること。そんな日々の積み重ねが、家族のウェルビーイングにつながっていくのだ。
4つの領域から考える
ウェルビーイングを高める要因
「他人」「自分」「世界」「社会」といった4つの領域と密接に関わるウェルビーイング。これらの関係は、より良い人生を生きるための原動力となり、1つとして欠かすことはできません。自らの健康を維持しながら、精神面での豊かさの追求や社会参加の在り方を考えるのは、ウェルビーイングを実現する上で、不可欠なスキルになっていくだろう。
●I/自分
まずは自分を大事にする。自分を良い状態にしてくれる要素を知っておくことで、健康面だけではなく、気持ちが落ち込んだりイライラしても、元気を取り戻しやすくなる。
●WE/他者
他者との良好な関係性やウェルビーイングに欠かせない要素。感謝されたり、人のために何かをすることで、自分の心も満たされる。家族以外のいろいろな人とのつながりも大切だ。
●SOCIETY/社会
社会に良いことをする、自分が社会に参加している実感を得ることもウェルビーイングにつながる。会社でも趣味のサークルでも、自分らしく過ごせる居場所があると良い。
●UNIVERSE/世界
自然や歴史といった、目の前の人間社会よりも大きな世界に触れると、ウェルビーイングが高まりやすい。自然に触れたり史跡を探訪するのも心のリフレッシュにつながる。
ウェルビーイングと男性育休
働き方が多様化してきたとはいえ、仕事優先の考え方がまだまだ強い日本社会。しかし、パパの育児参加が家族のウェルビーイングの要因になるのは先述の通り。育休を機に、子供やママとの絆を深めたり、働き方を見直す機会になるはずだ。家族の幸せ度を高めるために、パパの果たす役割は大きいのである。
教えてくれた人
坂倉杏介さん
東京都市大学都市生活学部准教授。博士(政策・メディア)。専門はコミュニティマネジメント。地域の多様な人の創発によるまちづくりを実践的に研究。現在、ウェルビーイングな地域を実現するリビングラボ・プロジェクトを大学の地元・世田谷区尾山台にて進行している。
文:竹治昭宏
写真:Finland Promotion Board
FQ JAPAN VOL.62(2022年春号)より転載