家族の在り方とは? ムロツヨシが映画『マイ・ダディ』と今の子供たちに思うこと
2021/09/23
公開中の初主演映画『マイ・ダディ』でシングルファーザーを演じた、ムロツヨシさん。ムロさんが思う、“家族や仲間を信じること”の大切さとは?
筋金入りのお調子者で、
人見知りが“できない”
人の心をとらえて離さない、“握力”の強い人。ムロツヨシさんに対して、そんな印象を抱く人は多くいるはずだ。思わず惹きつけられる、ユニークな世界観。知性と経験を感じさせる、ウィットに富んだ言葉。さらには、他者への好奇心や鋭い観察眼など。俳優・ムロツヨシさんは、一朝一夕では身につかない、高い人間力をもつ人といえるだろう。
聞けば、幼少期から今にいたるまで、人見知りをした経験がないという。「子供の頃は、みんなに注目してほしくて、いつも周囲に自分をアピールしていました。要は、筋金入りのお調子者で、人見知りが“できない”タイプなんです。役者を始めてからも、初対面の人にどんどん話しかけたりしていたので、若い頃は『人の懐に入るのがうまいね』なんて言われましたよ」。
他方で、相手の気持ちや立場をおもんばかる、繊細な面も持ち合わせている。例えば、ムロさんが初主演を務めた映画『マイ・ダディ』でのエピソード。ムロさん扮する牧師、御堂一男の娘役を演じた中田乃愛さんは、2019年にデビューした新人女優だ。現場では、中田さんがスムーズに演技できるよう、仕草やセリフの調整が行われる場面があったという。また、ムロさんがそうした調整を提案することもあったそう。当時について、ムロさんはこう語る。
「『中田さんをサポートしてあげよう』といった、おこがましい気持ちは決してありませんでした。ただ、『無理しないでね』『分からないことがあったら聞いてね』という気持ちで接していましたね。こちらからアドバイスはしませんが、中田さんが僕に聞きたいことを気軽に聞けるよう、近すぎず、遠すぎもしない場所にいました」。
今の子供や若者は
未知の世界で生きている
現場におけるムロさんの姿は、娘を辛抱強く見守る父親のようでもある。その姿の背景には、中田さんや、中田さんと同世代の若者を尊重する姿勢もある。
「僕らの世代よりも、若い世代のほうが理解できている物事ってあると思うんです。世代間には考え方の違いがあることを、よく理解している子も多いでしょう。『きっと、私の考えは伝わらないだろうな』という思いを抱いている子だっているはずです。若い人とは、彼らの思いや知性をふまえて接するようにしています」。
大人と、子供を含む若年層の間に壁ができる要因の1つに、オンラインゲームをはじめとする新進のツールがあるのでは、とも話す。
「今の子供や若者は、インターネットやオンラインゲームが当たり前にある環境で育っています。つまり、僕らが経験したのとは違う世界で生きているんです。自分の経験をふまえ、彼らのことを理解するのは難しいのでは、と思います。今、子育てしているパパやママも、同じような悩みを持っているのではないでしょうか。僕の友人夫婦も、オンラインゲームにハマっている子供について『ゲームをやめさせるべきかどうか、分からない』と悩んでいました」。