パパが「育休を取得するためにした工夫」とは? イクメンスピーチ甲子園優勝者が伝授
2021/03/20
厚生労働省が積極的に育児を行う男性を応援するイクメンプロジェクトの1つ「イクメンスピーチ甲子園」。2020年度大会優勝の伊藤翼さんに、育休取得を検討するパパへのアドバイスや、実体験を語ってもらった。
育児の楽しさを発信する
2020年の「イクメンの星」
昨年度は新型コロナウイルス感染症予防の観点から、配信を中心として実施された「イクメンスピーチ甲子園」。育児に対し真摯な姿勢をもつパパによる、魅力的なエピソードが数多く見受けられたなか、特に評価された3名のパパが決勝スピーチに出場となりました。
去る2020年10月に都内で開催された決勝大会で、めでたく優勝を獲得したのは、5歳の男の子と1歳の女の子のパパであり、「トヨタ自動車株式会社」の「素形材技術部」で勤務する伊藤翼さんです。
伊藤さんは、娘が生まれたのをきっかけに、およそ半年間の育休を取得。妻の「キャリアも大切にしたい」という思いを尊重し、産後およそ3ヶ月で職場に復帰した妻と入れ替わるかたちで、育休に入りました。
育休を取るにあたり、赤ちゃんの睡眠に特化した「IPHI 乳幼児睡眠コンサルタント」の資格取得を目指して勉強を開始。さらに、育休取得後は「製造業からイクメン文化をけん引する」というキーワードのもと、社内で「育休レポート」を発信したり、寝かしつけ講座を行ったりし、育児の楽しさを伝えています。
「第21回イクメンの星」であり、昨年度の「イクメンスピーチ甲子園」で審査員をつとめた上笹遼さんは、伊藤さんのスピーチをこう評しました。
「育休の経験を会社や社会に還元しようとする姿に、とても共感しました。伊藤さんのように育休に関連した活動を行うパパが増えることで、育休が文化として広がるはず。また、イクメンがさらに増えていくでしょう」。
今回は、本記事で伊藤さんにご登場いただき、「イクメンの星」としてのアドバイスや育休に対する感想をお話いただくことに。ここで、伊藤さんにバトンをわたします。
イクメンスピーチ甲子園
優勝者が語る「育児参加」
皆さんこんにちは、伊藤翼です。育休を取得するにあたり、「チームのメンバーに迷惑をかけてしまうのでは?」といった不安を抱える人は、多くいるのではないでしょうか。私も同様の不安を感じましたが、私の不在時にメンバーが困ることがないよう、育休を取得することを決めた直後から、普段関わっている社員すべてに育休をとる旨と、不在時の業務担当者を伝えるとともに、自分の業務を「見える化」しました。
また、社内に信頼できる仲間が多くおり、「ぜひ育休を取りなさい」と後押ししてくれる部長に恵まれた点も、大きな助けとなりました。
しかし、育休を取得し、いざ育児を始めると、思いどおりにいかないことばかり。「こんなはずじゃなかった」と悩んだ時期もありましたが、「妻や子供のためにも、楽しんで育児をしよう」とマインドチェンジを心がけるように。また、“楽しい育児”を実現しようと、寝かしつけの方法などが身につく「乳幼児睡眠コンサルタント」の資格取得を目指すことにしました。
寝かしつけがスムーズにできれば、自身の睡眠時間も確保でき、余裕をもって楽しく育児できるようになります。また、寝かしつけは毎日のことなので、パパが覚えれば育児に大きく貢献できます。ぜひ、寝かしつけをきっかけに、もっと育児に参加してほしいですね。「パパの育児参加は当たり前」という社会風土を形成することが、トヨタ自動車という企業に勤める私の目標です。
DATA
厚生労働省 雇用環境・均等局
職業生活両立課
イクメンプロジェクト
文:緒方佳子
FQ JAPAN VOL.57(2020-21年冬号)より転載