ニューノーマル時代の育児に必要なことって? 夫婦の出産意識調査2020
2020/08/12
幼保無償化から10ヶ月が経過するが、あなたの家庭や意識に変化はあっただろうか。子育て施策としては大きな動きであったが、その後世界はコロナ禍に見舞われた。こうした情勢は子育てをめぐる状況をどう変えていくのか。意識調査から探ってみよう。
幼保無償化に一定の効果を実感
幼保無償化には、子育てを家計の面から支援する意義があった。しかしコロナの影響で経済状況は流動化し、子育て世帯の意識には新たな揺らぎも生じているはずだ。
緊急事態宣言が発出されようとしている4月、公益財団法人1more Baby応援団は「夫婦の出産意識調査2020」を実施した。この調査は2013年に開始され、今回で8回目となる。
幼保無償化による変化を質問すると、無償化の対象者の55.5%が「生活が楽になった」と効果を実感していることが明らかになった。その要因として「日々の家計が楽になった」、「生活費に関する心理的な不安が軽減した」などが挙げられている。
それでも子育てしづらい日本
それではわが国はこうした施策の積み重ねで、子育てしやすい国へと近づいているのだろうか。
「日本は子どもを『産みやすい』国に近づいているか」実感を尋ねたところ、70.4%は「近づいていない」と回答した。昨年調査との比較でも2.6ポイント増加(昨年:67.8%)で改善されたとは言えず、約7割の高い割合を維持している。
また、「日本は子どもを『育てやすい』国に近づいているか」実感を尋ねてみても、同じく7割の人が「近づいていない」と答えた。
日本が子供を産み育てやすい国に近づいていない原因として、上位3つは「社会制度が整っていない」75.7%(昨年76.6%)、「給与が低い(または上がる見込みがない)」59.5%(昨年65.8%)、「保育・学校にかかるお金が高い」58.1%(昨年68.8%)だ。ただしこの3つについては昨年より割合が下がっていることから、幼保無償化などの政策が一定の評価を得たと見ることもできる。
子育てを楽しめる社会へ
調査では、子供がいる女性の47.9%がテレワークの広がりで「夫の家事、育児への参加時間が増えた」と解答した。
実際、今後テレワークが定着していき、社会のオンライン化も進むと、子育てにおいて家庭、特にパパの参加がこれまで以上に重要な役割を占める可能性はある。しかしそれがパパママの負担増につながるのではなく、社会全体で家庭の子育てを支える仕組みを作っていくことが必要だろう。
「子供を産み育てやすい国」の条件のひとつは、パパが「子育てができてよかった」と感じられることだ。
DATA
【調査概要】
■既婚者2,954名の条件
・対象:既婚女性20-39歳、既婚男性20-49歳(男性は妻が39歳以下)
・割付条件①:全国各都道府県均一回収(各県63名)
・割付条件②:既婚子なし/既婚子1人/既婚子2人以上 それぞれを均一回収
⇒47(都道府県)×3(子ども条件)=141セルのそれぞれを21名ずつ、計2,954名回収
※尚、高知県、佐賀県で一部未回収のため、本来の回収数(2,961名)からは少ない回収数を
回収後、①各都道府県の人口比、②一世帯の子ども人数の構成比を平成27年総務省統計データより
■調査方法:インターネット
*調査対象者の説明のない数字については、既婚男女2,954名の結果としています。
■調査実施期間
事前調査 : 2020/04/08 ~ 2020/04/10
本調査 : 2020/04/10 ~ 2020/04/16
文:平井達也