プログラミング教育が必修化! 「教科」ではなく「思考」を身に付けることとは
2020/03/04
2020年度から小学校での新学習指導要領の運用が始まる。目玉の一つがプログラミング教育の必修化だが、パパママたちはその内容を把握しているだろうか。わが子が学校で何か難しいことをやっているらしい……という認識ではまずい。プログラミング教育のねらいを理解して、家庭でサポートできることがあるか考えてみよう。
必修化の中味はまだ認知度不足?
プログラミング教育と聞くと、児童たちがパソコンとにらめっこしてコマンドを打ち込んだりする様を想像する人も多いかもしれない。しかし、小学校でのプログラミング教育は、かならずしもパソコンを使いこなすことを目的にはしていない。文部科学省の教師向けの手引きにもはっきりこう書かれているのだ。
「プログラミングに取り組むことを通じて、児童がおのずとプログラミング言語を覚えたり、プログラミングの技能を習得したりするといったことは考えられますが、それ自体をねらいとしているのではないということを、まずは押さえておいてください。」
では世のパパママたちの認識はどうだろうか。株式会社小学館集英社プロダクションは、未就学の子供のパパママ551人を対象にプログラミング教育の小学校必修化に関するアンケート調査を実施した。
まずプログラミング教育の必修化について知っているかを尋ねたところ、半分以上のパパママが「聞いたことはあるが内容は知らない」と回答した。
また、「プログラミング」という教科が新設されるのだという誤解もあるかもしれないが、そうではない。既存の算数や理科、また国語や音楽といった教科の学習の中で「プログラミング的思考」を養っていこうというものなのだ。
プログラミング的思考への誤解
それでは「プログラミング的思考」はどのようなものだととらえられているだろうか。同じパパママ向けアンケートでは「プログラミング的思考」のイメージを質問し、以下のような回答結果を得ている。
黄色線の囲みは誤解が含まれている可能性がある回答だ。「プログラミング的思考」はコンピュータの使用を前提としたものに限らない。
求められている思考力の核心は?
それでは「プログラミング的思考」とはどのようなものか。
2016年に文科省は「小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議」を設置した。有識者会議は「プログラミング的思考」について同年6月の「議論の取りまとめ」で以下のように述べている。
「自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力」である、と。先に述べた教師向け手引きで文科省はこの考えを踏襲している。
小学校段階でのプログラミング教育は、パソコンを使ってプログラミングを行う力というよりも、もっと基礎になる力、すなわち何が課題か見出し、それを解決する方法を論理的に導き出す思考力を鍛えることを目的としていると言えるだろう。
そうした思考力は家庭での手伝いや遊びを通しても身に着けられるはずだ。また、家庭学習の場でも、幼児から⼩学⽣まで9年間一貫カリキュラムの⼩学館の通信教育サービス『まなびwith』では、2020年4⽉号から「論理⼒(プログラミング的思考)トレーニング」を導⼊する。こうした教材を使って、わが子が将来役立つ力を身に着けるのをサポートするのもアリだろう。
DATA
Text:平井達也