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子供の成長を助けるのはコレ! “手作りおもちゃ”がオススメな理由は?

今の子供は常に新しいおもちゃやゲームに囲まれている。そして親たちは日々“どんなおもちゃを選ぶべきか”考える必要があるだろう。本当にいいおもちゃとはなにか? 東京おもちゃ美術館の多田館長にお話をうかがった。

おもちゃ選びのポイントは?

「当館には、電池や電気を使うおもちゃがありません。頭を使うもの、指や手を使うものが中心です。ハイテクなゲームはすぐにその世界へ没入できる一方で、昔ながらの伝承あそびやローテクなおもちゃは、自分が一生懸命工夫したり動かしたりしなければ遊べません。それが、子供を伸ばす部分なのです」。東京おもちゃ美術館館長の多田さんはそう語る。

「ゲームのへや」では、電池や電気を使わないアナログゲームに、子供から大人が声を出して盛り上がる。

「子供の成長を促すおもちゃのポイントは3つです。

1つめは、コミュニケーションが生まれるおもちゃであること。おままごとや、テーブルゲームなどは、1人で黙々と遊ぶことができません。誰かとコミュニケーションを取らないと成立しない遊びなので、人との関わりが自然と生まれます。

2つめは、手や指を使うおもちゃ。手指は、人が生まれ持った1つの道具。これを活かさない手はありません。0歳から6歳までに指をどれだけ動かしているかが重要であるとされ、特に親指・人差し指・中指3本は、生活の基本動作に直結します。コマやあやとりなど、ほとんどの伝承遊びが当てはまります。

3つめが、脳に刺激を与えるおもちゃ。ブロックや積み木などがそれにあたり、頭を使いながら手指を動かすことで脳への血液量が増えて、脳が活性化すると言われています」。



手作りおもちゃは
簡単なものからが鉄則

最近大人気の「いとのこや」では、赤ちゃんの手形(500円~)づくりに毎日ママたちが行列を作る。

実は、この3つのポイントすべてと密接に関係してくるのが「手作りおもちゃ」だ。自身も、手作りおもちゃについて数多くの著書を持つ多田館長によれば、「はじめは家にあるもので作ること」が鉄則だそう。

「当館の“おもちゃこうぼう”では、毎日おもちゃの工作が体験できます。ここではパパやママが傍観者にならずに、子供より夢中になっていますよ。自宅でおもちゃを作るのだって、コツさえ知ればとても簡単です。ただし、最初からホームセンターまで材料を買い出しに行って張り切りすぎると、意外とそれきりで続かない。はじめは簡単なものがいいんです。紙コップにタコ糸をつけて糸電話、これで十分ですよ」。

東京おもちゃ美術館3Fの「おもちゃこうぼう」では、紙コップや牛乳パックなどを使って親子で一緒に工作が体験できる。(無料)



パパ・ママのギモンを解決!
おもちゃに関するQ&A

Q.子供にはどんなおもちゃを選ぶべき?

A.食事が身体の栄養なら、おもちゃは子供にとって、心の栄養。たとえば食事なら、健康的なもの以外に、おやつも食べますよね。それがバランスであり、食べることを楽しむ“文化”。おもちゃも同じで、ハイテクな最新のものだけに偏るのではなく、電池を使わないローテクなものも取り入れて、幅広く多様なおもちゃに触れさせてあげることが大事です。

Q.手作りおもちゃがなぜ、子供にいいの?

A.手は1つの道具。最大限活かすことで、脳が活性化します。

様々な脳の研究者達が「子供の時に指を使うことは非常に重要」とおっしゃいます。日本を代表する研究者は「人差し指を曲げるだけで、感覚を司る側の脳への血流が17%、運動側の脳への血流が30%増える」と、教えてくださいました。だから、子供には砂場や積み木など、いろいろな遊びの機会を与えて手や指をフル稼働させてあげるといいですよ。

Q.「いいおもちゃ」の条件とは?

A.電池や電気を使わない素朴なもの。究極のグッドトイは、雑木林です。

「子供をサボらせない、横着させないおもちゃ」ほどいいと思います。究極は、雑木林や森、里山などの落ち葉や木の枝でも楽しめること。テレビやゲームは勝手に楽しませてくれるけど、石ころの前でじっと待っていても、なにも面白くない。自分から工夫をしないといけないわけです。ちょっとした不便さがある方が、子供の考える力に刺激を与えてくれますよ。

Q.遊ぶときに心がけるべきことは?

A.子供は、繰り返しを楽しむ天才! このことを知っているだけでOKです。

子供は、同じおもちゃで何度でも遊びたがりますよね。そんなとき「今日はこっちにしなさい」とか言わないで、何度でも付き合ってあげて欲しいんです。積み木なら、パパが積んだものを子供が崩す。それをまたパパが積んで、子供が崩す。飽きるまでやってみてください。同じことの中で子供には発見があり、徐々に高度な遊びに発展していきます。



PROFILE

東京おもちゃ美術館 館長

多田千尋さん

認定NPO法人芸術と遊び創造協会理事長。明治大学法学部卒業後、モスクワ大学系属プーシキン大学に留学。乳幼児から高齢者までの遊び・芸術による世代間交流、シニアを交えての子育て支援、おもちゃ遊びによるQOL向上などに注力。東京おもちゃ美術館では、全国に「おもちゃコンサルタント」6000人を輩出。

問い合わせ

東京おもちゃ美術館

東京都新宿区四谷4-20 四谷ひろば内
TEL:03-5367-9601


Photo:NATSUKI MATSUO (OHKAWA NAOTO Photography.inc)
Text:ETSUKO KIMURA

FQ JAPAN VOL.51より転載

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