「日本は子供を産みやすい国」に近づいている? 全国のパパ・ママの本音とは
2019/07/07
近年、働き方改革や育児休暇取得の流れが進む日本だが、「子供を産みやすい国」に近づいているのだろうか。既婚男女を対象としたアンケート結果を紹介しよう。
夫婦の本音は?
意識調査アンケートを実施!
働き方改革関連法が施行され、男女ともに育休取得の機運が高まり、社会全体が出産・子育てをサポートする方向に進んでいる。しかし実際のところ、子育て中だったり、これから子供を作ろうとしている当事者はどう感じているのだろうか?
公益財団法人1 more Baby応援団が「夫婦の出産意識調査」と題するアンケートを行い、結果が5月28日に発表された。この調査は2013年から毎年行われ、今年が7回目の実施。調査対象は全国の既婚男女2,961名だ。
早速、アンケートの結果を見ていこう。
「日本は子供を産みやすい国に
近づいている」と答えたのは32.2%
アンケートの最初の質問「日本は子供を産みやすい国に近づいているか」に対して「近づいている」と答えたのは32.2%。
一方、67.8%もの人が、「日本は子供を産みやすい国に近づいていない」と回答。また、「日本は子供を育てやすい国に近づいているか」についても、約7割が近づいていないと答えた。
原因の上位3つは「社会制度が整っていない」「保育・学校にかかるお金が高い」「給与が低い(または上がる見込みがない)」だ。どれも個々の努力では解決できない要因ばかりで、国の厳しい状況を再確認せざるを得ない。
立ちはだかる「二人目の壁」
経済的な事情や仕事などの理由から、二人目以降の出産をためらう人は多い。アンケートでは、この「二人目の壁」は存在するかを質問している。
結果はなんと73.5%が「存在すると思う」と回答。調査開始以来7年連続で、7割以上が「二人目の壁」の存在を感じるという結果に。
理由の上位は「経済的な理由」「第一子の子育てで手一杯」「年齢的な理由」となっている。
また、子供をめぐる環境の複雑化や高齢出産の増加も、二人目を産むことをためらわせているのかもしれない。
出産・育児に対する
職場環境の変化は?
勤務環境と出産、育児についてはどう感じているのだろうか?「日本社会全体の働く環境はよい方向に変わっているか」を尋ねたところ、結果は6割が「良い方向に変わっていない」と否定的だ。
理由として、「産休や育休の取りづらさ」「時短勤務など柔軟な働き方が広まっていない」ことが挙げられる。一方で「家事代行やベビーシッターには頼りたくない」という人が66.3%に上った。
ワンオペ育児が
親子を追い詰める
また、近年問題になっているワンオペ育児についても質問。「自身がワンオペ育児だと思うか」を聞いたところ、4割近くの人が「そう思う」と回答した。
そこでさらに、「ワンオペ育児だと感じている人」と「そうでない人」に分けて、出産・子育てへの感じ方を調査。
特に気になったのは、「配偶者の帰宅時間が20時以降である」「育児ストレスにより、子どもを可愛くないと感じたことがある」という項目。ワンオペ育児を強いられている親のほうがその傾向が高く、より切迫した状況にあることがわかる。また、「夫婦で過ごす時間は十分に取れている」と答えた人も少なかった。
育児休暇や働き方改革が進んでいるとは言われていても、実際にはあまり浸透していないのが現実のようだ。
日本はまだまだ
出産・子育てがしにくい
「今の日本では出産・子育てしにくい」という当事者の切実な意識が、アンケート結果から伝わってくる。その原因のほとんどは社会の構造的なものだ。パパ・ママの声が多くの人に届けられる場がもっと必要だろう。