子供にLGBTであることを打ち明けられたら…あなたならどうする?
2019/08/08
生まれてくる子供の性別は生物学的に決められる。しかし、内面が男性であるか女性であるか、あるいはその両方であるかは、生物学的な性別とは必ずしも一致しない。子供が性別の悩みを抱えた時、親はどう対応すべきか。ある父親に体験談を聞いた。
生物学的な性別と
アイデンティティの不一致
科学情報サイト「ライブサイエンス」は、トランスジェンダーの人々を「性別に関わるアイデンティティや自己表現が、生まれつき割り当てられた性別に一致しない人々」と表現している。なかには、自分らしさをよりよく表現できる服装に身を包む人もいるし、性転換手術やホルモン補充療法を経験する人もいる。
国によっては、性別を法的に変えるために、性同一性障害の診断を受けなければならない場合もある。例えばイギリスの国民保険サービスでは、性同一性障害を以下のように定義している。「生物学的な性別とアイデンティティにミスマッチがあるために精神的な苦しみを経験すること。性別不調和ともいう。」
イギリスでは、トランスジェンダーの人々は性同一性障害と診断されてから2年が経過すると性転換手術を受けていなくても「性認識証明書」を受け取ることができる。2015年4月からは法律上も性別を変えることができるようになり、法律上の性別に応じてあらゆる目的で、あらゆる認可を受けることができるようになった。
子供の性別が変わる…親はどうする?
法律上の性別を自由に選べるようになったとはいえ、そこまでの道のりは決して平坦ではない。精神保健機構の調査では、LGBTを自認する人々は精神的な不調を経験するリスクが高いということが証明されている。イギリス心理学協会の研究でも、トランスジェンダーの人々の88%が鬱を経験し、84%が自殺を考えたことがあることが示された。
性別を変えるという決断は、両親にも強いインパクトを与える。両親が子供たちをサポートをするために、両親自身にもサポートが必要だ。生物学的に息子として生まれてきた子供が娘に変わるのを受け入れるのは、人によっては簡単なことではない。なかには深い悲しみを感じる親もいるし、状況を受け入れられず子供との縁を切ってしまう親もいる。だから、トランスジェンダーの人々だけでなく、その家族へのカウンセリングも非常に重要なのだ。
娘の告白
14歳の娘にトランスジェンダーであることを告げられたエリックさんは当時のことを振り返る。
「彼の状況や、彼がこれからやろうとしていることには本当に驚かされました。でも彼の望むことを、すぐにでもやってあげなければと思いました。現状から目を背けても何も始まらないし、それが私たち全員にとって一番いいことだと思いましたから。」
子供のオリバーさんは、現在23歳で、男性になってから7年が経ち、男性であることを自認してからは12年が経過している。オリバーさんは子供の頃から男性の名前を名乗っており、オリバーさんが両親にカミングアウトをしたとき、エリックさんは安堵の感情を抱いたという。「彼が友達の家のプールで遊んでいて、胸の形がシャツに浮き出ないように前かがみに歩いているのを見たとき、普段から男の子らしい振る舞いをしていた理由がわかってしまいましたからね。でも母親の方はそうではなかったようです。」
親にできる準備
実際にその現場を目撃していなかった母親はエリックさんよりもカミングアウトに困惑していたという。「彼女はとても悲しそうで、孫の顔が見れないということを残念がっていました。」しかしそれでも、オリバーさんの両親は家族として子供の変化を受け入れる準備を始めた。「まず、できる限り速やかにファーストネームを変更する手続きを取り、そして精神科医やそのほかの専門家を探しました。それから親戚など、すべての知人に事情を知らせ、難色を示した人は私たちの生活から切り離すようにしました。」
それから、エリックさんが歩んだプロセスがどのようなものだったのかを聞いてみると、彼はこう答えた。「すべては順調に進みました。私たちが選べる道はたった一つ、しかもそれがベストな選択肢でしたから。専門家の方々からも素晴らしいサポートを受けましたし、息子の精神的な強さが私たちを支えてくれました。そしてその強さがあったから彼は鬱になることもなかったのだと思います。」
もしあなたや、あなたの知り合いがこの記事で取り上げられた内容に関心を持ったのであれば、ぜひトランスジェンダーのことについて調べてみてほしい。そして身近にいるトランスジェンダーの人々が手助けを必要としていれば、ぜひサポートをしてあげてほしいと思う。自分の子供も、将来大きくなったら直面する問題かもしれないので、理解を深めるのは大切なことだ。
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兄弟誌FQ UKより転載