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「良い夫やめました宣言」と「医学部入試の女性差別問題」の共通点とは

ワーク・ライフ・バランスを見直すには、男性が陥りがちな“仕事が全て”という考え方を根本から改めなければならない。古い価値観から抜け出せない人々の姿を最近のニュースから考える、香山先生のコラム。



医学部入試女性差別の裏には
医師の働き方問題がある

医学部の入学試験において、女子や浪人生が不利になるように採点されていたことが注目を集めました。この問題には、大学医学部の入試は就職採用試験に近い位置づけにある、という特殊な背景があります。受験生の多くは卒業後の大学病院への勤務を前提としており、それは大学側も同じ。そのため、将来を考慮すると女性は出産・育児を通じてアクティビティが下がるため不利な条件としていた、という大学側の言い分も、一見すると理に適っているように思えます。

しかし私が気になるのは、女性では勤めるのが難しいと判断される医師の勤務実態であり、それを肯定してしまう医大・医療関係者の心理です。私も大学病院の勤務医を経験しましたが、例えば早朝7時に出勤して日勤をこなして、そのまま当直。そして翌日の日勤をこなし帰宅するのは夜、ということも普通です。そして代休などなく翌朝には7時に出勤する。現在も多くの医師が、これに近い勤務をこなしています。家事・育児と勤務とを両立するのが、極めて難しい勤務状況にあるのです。

ワーク・ライフ・バランスやという言葉が普及しつつある現代にあって、本来であれば男女を問わず、こうした勤務状況を耐えるべきではありません。それを変えるべきです。ところが、女性医師を対象に実施されたアンケート調査によると、大学の対応に何らかの理解を示す女性医師が6割を超えた、という報道がありました。

これまで女性医師は、過酷な環境に必死になって適応してきました。勤務と家事とをこなすことで手一杯であることは理解できます。医療現場に目を向ければ、産休や育休で休暇を取るような同僚は困る、という本音も見え隠れします。入試における女性差別を生み出す温床となっているのは、こうした医師の心理にあるともいえます。「大学が悪い」、「差別された受験生が可哀そう」と批判するだけでなく、その背景にある問題にも目を向けて欲しいと思います。そのうえで医療を取り巻く人々が、現在の過酷な勤務状況を容認してしまう古い考え方を改めるべきではないでしょうか?

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