ジェンダー・ギャップや保育の壁……解決のカギは”男性側の意識”
2019/01/20
待機児童、3歳の壁
保育の質など、問題山積み
待機児童の問題は、早期職場復帰のための預け先が見つからない場合だけでなく、2歳までを預かる多くの保育所では3歳以降の預け先にも頭を悩ますことになります。いわゆる「3歳の壁」です。環境や親子関係の変化に伴い、「壁」に直面するのは当然のこと。それぞれの家庭でそのときどきの「壁」に直面するものです。
私の場合は、地元岡山と東京でのダブル保育という大きな壁。2人の子どもを預けなければならないのに共働きで対応できず、復職が決まっていた妻はやむを得ず退職を選択しました。
兄弟・姉妹で別々の園、自宅から遠い園などの、「壁」を乗り越えられず、キャリアを諦めてしまう人もいるでしょう。私自身も、このような体験を経て、深刻さを再認識しました。
先日は世田谷区の保育所で、保育士が一斉退職して休園に追い込まれることがありました。待機児童問題解消のために増やした認可外施設による事故やトラブルも大問題になっています。私も保育所で、あわや大けが寸前という園児が間一髪で事なきを得た場面に遭遇したこともあります。親としては安心して預けられるということが大前提です。
保育の質を高めるためには、保育士の処遇改善、配置基準の見直し、キャリアアップのための研修制度なども必要です。潜在的保育士解消にもつながります。待機児童の解消のためには、認可園選考のための保育指数を実態に合わせて簡略化し周知することです。小規模保育所や企業主導型保育所は必要ですし、施設の連携強化を進めなければなりません。もちろん、保育の質も守られなくてはなりません。
そもそも指数を競うのではなく、希望する人が全員預けられるようにすること、育休を延長したい人ならわざわざ落選を狙わなくても延長できることが肝心。目先の施策でなく、意識が変われば制度も変わります。ケースバイケースで家庭ごとの個別の「壁」を取り払わなければ。
イクメンたる男性自身が当事者意識を持って、問題の本質をとらえることが大切なのです。
PROFILE
柚木 道義 MICHIYOSHI YUNOKI
1972年岡山県生まれ。超党派イクメン議連の共同座長。2005年衆議院議員選挙岡山県4区にて初当選。現在、無所属、衆議院法務委員会委員を務める。プライベートでは長女7歳、長男5歳のパパ。
Text >> SHIGEJI TAKAHASHI
FQ JAPAN VOL.49より転載