ダイバーシティの重要性とは? 杉田議員発言に見る多様性理解の乏しさ
2018/11/27
待機児童は働き方に直結
互いの困難を支え合う社会へ
待機児童の話についても、杉田議員は実態を理解していません。育児・介護休業法では、育休は子供が1歳に達する日までとされ、育休期間中は雇用保険の育休給付金として給料の一定額を受け取れます。保育園に申し込んで入れなかった場合、育休は2歳まで延長でき、給付金も受給できます。待機児童問題が慢性化するなか、子供が保育園に入れず復職できない親も増えています。育休を延長するために、形式的に保育園の利用申請をする人も一定数います。
育児は多様な悩みがあります。私も保活で10も20も保育園を回って決まらない経験をしました。待機児童問題は働き方改革に直結しますから、安倍政権の女性活躍や子育て支援という言葉はまやかしにしか聞こえません。
人にはそれぞれ人生があり、歴史があり、悩みや苦しみがあります。そういったダイバーシティ(多様性)を認め合い、お互いを理解して社会を構成する。そのために、納税しているお金を分配して支え合って暮らしていく。これを司るのが政治という仕事なのです。
「共生社会」を作る上で、LGBT支援に止まらず、心身の面で日常生活に困難を感じる皆さんを支援していくのが、普通に暮らしている人にとっても居心地の良い社会になります。人は誰もが不慮の事故、事件に巻き込まれて、自分や家族の心身が不自由になる可能性があります。そして、そもそも心身に何らかの困難をかかえて世に生まれてくる可能性があるのです。
今回の杉田議員の発言を通じて、我々は改めて、困難を乗り越えて共感するためのサポートを、社会、政治、制度で作っていくべきだと痛感しました。
PROFILE
柚木 道義 MICHIYOSHI YUNOKI
1972年岡山県生まれ。超党派イクメン議連の共同座長。2005年衆議院議員選挙岡山県4区にて初当選。現在、希望の党所属、衆議院厚生委員会委員・法務委員会委員を務める。長女7歳、長男4歳のパパ。
Text >> KOUSUKE OONEDA
FQ JAPAN VOL.48より転載