ダイバーシティの重要性とは? 杉田議員発言に見る多様性理解の乏しさ
2018/11/27
SNSで一時大炎上となった、自民党・杉田水脈議員の「LGBTは生産性がない」という発言。この一件で露呈した、多様性(ダイバーシティ)理解における問題とは? 柚木みちよしの「日本イクメン増加計画!」第10回。
「生産性」など論外
マイノリティ支援が世界潮流
「待機児童、待機児童っていうけど 世の中に『待機児童』なんて一人もいない。子供はみんなお母さんといたいもの。保育所なんか待っていない。待機してるのは預けたい親でしょ。」
これは、自民党の杉田水脈議員のツイッター上での発言です。杉田議員は、月刊誌『新潮45』でも、LGBTに対して「『生産性』がない」という発言が物議を醸しています。これらの一連の発言はもってのほかです。杉田議員の文章を全文読みましたが、私が一番疑問なのは、 LGBTは子供を作らない=「生産性」がないという主張です。全く論外ですし、「LGBTに税金を投入するのがいいのかどうか」という問いもしています。さらに、これが一私人ではなく国会議員としての差別的な発言という点で、三重に大問題です。
「生産性」とカギカッコを付けているが故に、別の解釈をして冤罪だと擁護する人もいます。しかし、“カギカッコ付き”こそが問題なのです。そもそも、杉田議員の「生産性」は定義が明確ではありません。例えば、労働生産性なら定義があります。しかし、「生産性」は人によって解釈が異なります。杉田議員の文脈では、子供を作る=「生産性」という定義だと受け止められるのは当然です。
子供は授かりものです。私の周りにも、不妊治療にたくさんのお金と時間を使わざるをえない方々がいます。何度も流産したり、産むのを諦めたり、養子をもらったり、様々な事情で子供が持てない人がいます。杉田議員は、LGBTの方だけに止まらず、そうした方たちまで傷つけてしまっているのです。
一昔前に「DINKs」(ダブルインカム・ノーキッズ)という言葉がありました。共働きで子供がいると育児が大変だから、意図的に子供を産まない選択をする人たちのことです。しかし、彼らには生産性が全くないわけではありません。2人ともお金を稼ぎ、それを消費に使い、経済にも貢献しています。杉田議員の言葉遣いは、本当に思慮が浅いと思います。
LGBTの世界の動向については、国連はもとより、日本の同盟国であるアメリカでも、2015年に同性愛は法律的に認められています。社会的なマイノリティに対し、ダイバーシティ(多様性)を認め合うのが、社会にとって重要だと認めるのが、世界の潮流なのです。
杉田議員は、安倍晋三首相の山口県連に所属しており、二階俊博幹事長も容認する発言をしていました。要するに、自民党がそういう認識だということです。だから、安倍政権には「共生社会」という言葉を使わないでほしい。これは野党が、共に生き、ダイバーシティ(多様性)を認め合うことを政策化するために打ち出した理念だからです。